週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、不安定な動き続きそう
◆ポンド、英中銀利下げも意見分かれる、不安定な動き続きそう
◆加ドル、7月雇用統計に注目
◆対円は、日銀総裁のタカ派的見解の影響を見極め
予想レンジ
ポンド円 187.00-194.00円
加ドル円 105.00-110.00円
8月5日週の展望
ポンドは不安定な動きが続きそうだ。英中銀(BOE)は1日に金融政策委員会(MPC)の結果を公表し、政策金利を5.25%から5.00%に引き下げた。利下げは2020年3月以来、4年5カ月ぶりとなる。直前に一部通信社が実施したアナリスト調査では、据え置きと引き下げが拮抗していたが、MPC委員9名による投票は予想通り僅差となり、0.25%利下げ5票に対して据え置き4票となった。インフレ圧力の緩和度合いについて意見が分かれたもよう。なお、7月半ばに発表された6月英消費者物価指数(CPI)は前年比2.0%だった。
MPC投票の内容を確認すると、ベイリーBOE総裁の利下げ提案に不賛成の4名は、グリーン、ハスケル、マン、ピル委員の4名。その中でも、英中銀チーフエコノミストでもあるピルMPC委員が据え置きを依然として主張したことは気になるところ。先の講演でサービス価格の高止まりを指摘しており、それが鈍化してこない限り、ピル氏は緩和に慎重な姿勢を示し続けそうだ。
英中銀MPCによる利下げ決定は僅差だったこともあり、声明では金利の落着きどころや、そこに届くまでのスピードについて具体的なガイダンスは示されなかった。また議事要旨では、今回の利下げ決定を「微妙なバランス」と表現。前回の利下げ見送り時と同じ表現となった。今後、ベイリーBOE総裁は、英MPC内の意見をまとめるのに相応の労力を必要とするだろう。そういった中で、ポンドの方向感はかなり掴みづらいかもしれない。
カナダからは、複数の経済指標が発表されるが、最も注目されるのは9日発表の7月雇用統計だろう。前回6月データでは失業率が6.4%と2年5カ月ぶりの高水準まで悪化した。カナダでは人口が急増しているものの、十分な雇用が確保できない状況が続いている。特に若年層の失業率が高水準に達したことが懸念され、足もとのカナダ経済の低調な現状から、カナダが景気後退に向かっている可能性があるとの指摘も出てきた。6月に続く弱めの雇用データとなれば、加金利先安観が更に強まり、加ドルにとっては重しとなりそうだ。
ポンド、加ドルともに対円では、日銀会合の前後に進んだ円高の流れがどの程度まで続くかを見極めることになる。利上げを決定した後の植田日銀総裁の定例記者会見では、想定以上のタカ派的発言が相次いだことが円買いを促している。
7月29日週の回顧
ポンド円は週前半の199円半ばを戻り高値に189円半ばまで大幅に下落した。加ドル円も112円台を回復したところから107円半ばまで売りが進んだ。外貨売り円買いのきっかけは、日銀会合を控えるなかでの金融正常化観測の強まり。会合後に一旦は下げ渋るも、植田日銀総裁の会見を受けて、再び円高の流れが進んだ。
ポンドドルは1.28ドル台での推移が続いたが、英中銀利下げ決定を受けて1.27ドル前半まで下値を広げた。加ドルは対ドルで1.38加ドル後半まで加ドル安が進行した。(了)
◆加ドル、7月雇用統計に注目
◆対円は、日銀総裁のタカ派的見解の影響を見極め
予想レンジ
ポンド円 187.00-194.00円
加ドル円 105.00-110.00円
8月5日週の展望
ポンドは不安定な動きが続きそうだ。英中銀(BOE)は1日に金融政策委員会(MPC)の結果を公表し、政策金利を5.25%から5.00%に引き下げた。利下げは2020年3月以来、4年5カ月ぶりとなる。直前に一部通信社が実施したアナリスト調査では、据え置きと引き下げが拮抗していたが、MPC委員9名による投票は予想通り僅差となり、0.25%利下げ5票に対して据え置き4票となった。インフレ圧力の緩和度合いについて意見が分かれたもよう。なお、7月半ばに発表された6月英消費者物価指数(CPI)は前年比2.0%だった。
MPC投票の内容を確認すると、ベイリーBOE総裁の利下げ提案に不賛成の4名は、グリーン、ハスケル、マン、ピル委員の4名。その中でも、英中銀チーフエコノミストでもあるピルMPC委員が据え置きを依然として主張したことは気になるところ。先の講演でサービス価格の高止まりを指摘しており、それが鈍化してこない限り、ピル氏は緩和に慎重な姿勢を示し続けそうだ。
英中銀MPCによる利下げ決定は僅差だったこともあり、声明では金利の落着きどころや、そこに届くまでのスピードについて具体的なガイダンスは示されなかった。また議事要旨では、今回の利下げ決定を「微妙なバランス」と表現。前回の利下げ見送り時と同じ表現となった。今後、ベイリーBOE総裁は、英MPC内の意見をまとめるのに相応の労力を必要とするだろう。そういった中で、ポンドの方向感はかなり掴みづらいかもしれない。
カナダからは、複数の経済指標が発表されるが、最も注目されるのは9日発表の7月雇用統計だろう。前回6月データでは失業率が6.4%と2年5カ月ぶりの高水準まで悪化した。カナダでは人口が急増しているものの、十分な雇用が確保できない状況が続いている。特に若年層の失業率が高水準に達したことが懸念され、足もとのカナダ経済の低調な現状から、カナダが景気後退に向かっている可能性があるとの指摘も出てきた。6月に続く弱めの雇用データとなれば、加金利先安観が更に強まり、加ドルにとっては重しとなりそうだ。
ポンド、加ドルともに対円では、日銀会合の前後に進んだ円高の流れがどの程度まで続くかを見極めることになる。利上げを決定した後の植田日銀総裁の定例記者会見では、想定以上のタカ派的発言が相次いだことが円買いを促している。
7月29日週の回顧
ポンド円は週前半の199円半ばを戻り高値に189円半ばまで大幅に下落した。加ドル円も112円台を回復したところから107円半ばまで売りが進んだ。外貨売り円買いのきっかけは、日銀会合を控えるなかでの金融正常化観測の強まり。会合後に一旦は下げ渋るも、植田日銀総裁の会見を受けて、再び円高の流れが進んだ。
ポンドドルは1.28ドル台での推移が続いたが、英中銀利下げ決定を受けて1.27ドル前半まで下値を広げた。加ドルは対ドルで1.38加ドル後半まで加ドル安が進行した。(了)