株式明日の戦略-茫然自失の株価急落、仕切り直しの買いは入るか

 5日の日経平均は大幅に3日続落。終値は4451円安の31458円。2日の米国では、市場予想を大幅に下回る7月雇用統計を受けて主要3指数が下落。米10年債利回りが急低下して、為替市場ではドル安・円高が急速に進行した。

 先週金曜同様に先物が大きく値を崩す中、600円超下げて始まると、すぐに下げ幅を4桁に広げた。前場では開始早々に2500円超下げたところで、いったん売り圧力が和らいだ。しかし戻りは鈍く、後場に入ると鋭角的に下を試しに行く展開。時間が経つごとに3000円安、4000円安と下げ幅を広げ、売りが売りを呼ぶ流れが強まった。ドル円は一段と円高が進む悪循環となり、アジア株も大きく下落。終盤には31100円台まで水準を切り下げる場面もあり、4000円を超える下落で終了した。

 下げ幅は1987年10月20日の3836.48円を下回り、歴代最大を更新。日経平均、TOPIXともに大納会1月4日の水準を下回り、年初来安値を更新した。グロース250指数は連日で年初来安値を更新。15.8%安と厳しい下げとなり、終値で500pを下回った。

 東証プライムの売買代金は概算で7兆9600億円。業種別では全業種が下落。相対的に値を保ったのが空運、陸運、医薬品であったが、最もパフォーマンスが良かった空運でも6%を超える下落となった。一方、保険、銀行、証券・商品先物が暴落しており、33業種中、22業種が2桁の下落率となった。

 初めての配当および上場10周年記念株主優待の実施などが好感されたクラウドワークス<3900.T>が急騰。反面、凄まじい株安となる中で、野村ホールディングス<8604.T>と大和証券グループ本社<8601.T>がストップ安まで売り込まれた。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり14/値下がり1625。米長期金利の大幅低下を受けて三菱UFJが17.8%安。三井住友は1Qの大幅増益は好感されずストップ安(15.5%安)となった。保険では東京海上や第一生命がストップ安。半導体株では東京エレクトロン、アドバンテスト、ディスコがストップ安となった。ソフトバンクGが一時ストップ安となって18.7%安。1Qが大幅減益となった任天堂が16.5%安となり、上方修正や増配を発表して買いが先行したサンリオも失速して6.1%安と逃げ場のない1日となった。

 一方、神戸物産が円高に耐性を示して逆行高。上期の利益見通し引き上げと増配を発表したアグロカネショウが急伸した。上方修正を発表した亀田製菓が大幅高となった。

 日経平均は暴落。1987年10月20日の「ブラックマンデー」の下げ幅を上回り、「令和のブラックマンデー」となってしまった。米国の7月雇用統計が弱い結果となることや、その場合に為替が円高(ドル安)に振れることは予想できない動きではなかったが、先週金曜の2000円を超える下落ではまだ足りず、4000円を超える下落で今年の上昇分をすべて吐き出すレベルまで売り込まれた。

 決算発表ラッシュ時に歴史的な下げに見舞われたことで、足元の業績が良かった銘柄も一緒くたになって売られている。また、PBRやPERといった伝統的な指標で割安感が強い銘柄もバリュエーションは度外視して売られている。マーケットが落ち着けば再評価されて良い銘柄は結構あるだけに、指数が年初の水準を下回ったところで仕切り直しの動きが出てくることに期待したい。あす6日には、きょうストップ安となった東京海上<8766.T>が決算を発表予定。金融株には米国の長期金利低下が逆風にはなるが、直近の株価急落により、今年に入ってからの上昇分の大半は消失している。PERは一桁台で配当利回りは4%近い。全体市場が冷静さを取り戻すかどうかを見極める点で、決算発表前の同社株に見直し買いが入るのか、それとも見切り売りに押されるのかを注視しておきたい。
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