ロンドン為替見通し=7月独卸売物価指数を見極めた後は、地政学リスクに要警戒か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、7月独卸売物価指数(WPI)を見極めた後は、主要な経済指標や要人発言の予定がないことから動きづらい展開が予想される。

 ユーロドルの現行水準には、NYカットオプション(1.0900ドル12日、1.0905ドル15日、1.0925ドル14日)が控えており、材料難の中で値動きを抑制している。
 しかしながら、引き続きウクライナ戦争や緊迫化しつつある中東情勢には警戒しておきたい。

 ウクライナ情勢では、ウクライナ軍がロシアへの越境攻撃を開始していることの背景として、有利な戦況を作り出すことでロシアを和平協議に応じさせる思惑が想定され始めている。予断を許さない状況が続くものの、2年半近く続いてきた戦争が大きな転機を迎える可能性、あるいは、ロシア軍が戦術核の使用に踏み切る可能性などが取り沙汰されており、関連ヘッドラインを注視しておきたい。

 中東情勢では、イランによるイスラエルへの報復攻撃への警戒感が高まりつつある。
 イラン国営メディアは9日、精鋭軍事組織「革命防衛隊」の対外工作を担う「コッズ部隊」のガアニ司令官が、新たなハマス指導者シンワル氏に宛てた書簡で「厳しく処罰する」とイスラエルへの報復を改めて明言したと伝えている。
 一方、イランのペゼシュキアン大統領は全面戦争を招く可能性を懸念しており、革命防衛隊にイスラエルへの直接攻撃を思いとどまるよう説得を試みている、とも報じられている。

 また、イスラエルのガラント国防相は11日、オースティン米国防長官と電話会談し、イランがイスラエルに対する大規模な攻撃を準備している兆候があると伝えており、本日も関連ヘッドラインを注視しておきたい。

想定レンジ上限
・ユーロドル:1.0963ドル(8/6高値)
・ユーロ円:161.59円(8/2高値)

想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0882ドル(8/8安値)
・ユーロ円:158.97円(8/8安値)


(山下)
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