東京為替見通し=ドル円は7月輸入物価指数、豪ドルは賃金指数に要注目か

 12日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが3.96%台まで上昇したことで148.22円まで上昇した後、「イランは24時間以内にイスラエルを攻撃する可能性がある」の一部報道を受けて、中東情勢を巡る懸念から米10年債利回りが3.89%台まで低下したことで147.05円付近まで反落した。ユーロドルは、米長期金利が低下に転じたことで1.0939ドルまで上昇した。ユーロ円は161.95円まで上昇後、160.74円付近まで下押しした。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、中東情勢に警戒しながら7月の本邦輸入物価指数で追加利上げの可能性や時期を見極めることになる。

 中東情勢に関しては、11日に、イスラエルのガラント国防相が、オースティン米国防長官と電話会談し、イランがイスラエルに対する大規模な攻撃を準備している兆候があると伝えていた。また、昨日は「イランは24時間以内にイスラエルを攻撃する可能性がある」との報道が伝わっており、関連ヘッドラインには警戒しておきたい。

 ドル円は昨日148.22円まで上昇したが、上値の注目水準は、上昇トレンドの中期支持線(127.23円を起点に140.25円を経由)だった148.81円、下落幅(161.95円~141.70円)の38.2%戻しの149.44円、半値戻しの151.83円、52週移動平均線の150.67円、200日移動平均線の151.44円となる。

 8時50分に発表される7月の輸入物価指数では、6月速報値(前年比+9.5%)、5月(同比+7.1%)、4月(同比+1.6%)の伸び率上昇基調が続いているのか否かを見極めることになる。
 7月のドル円相場は1986年12月以来の高値161.95円まで上昇した後、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入で反落基調にあったものの、輸入物価指数が上昇して、消費者物価指数へ波及していく可能性は残されている。

 7月31日、日銀金融政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げた後の記者会見で、植田日銀総裁は、2年以上にわたって目標の2%を超えているインフレを踏まえると、「実質金利は非常に深いマイナスにある」と強調していた。そして、現在の政策金利は景気や物価に景気を過熱させず冷やしもしない中立金利(※推定1.0%程度)に比べてかなり下の水準にあり、今回の利上げはそこの範囲での調整だと説明していた。

 7月の輸入物価指数が上昇基調にあれば、植田日銀総裁が警戒していた輸入物価上昇が国内物価に及んでいく「第一の力」の存在感が増すことになり、年末にかけて、金利の壁である0.50%程度までの追加利上げの可能性を高めることになるのかもしれない。

 5-6日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会で賃金の伸びの高さが指摘されていたことで、10時30分に発表される4-6月期豪賃金指数に要注目か。賃金指数が高まり、15日に発表される雇用情勢が予想よりも強い結果となった場合は、9月の理事会に向けて利上げ観測が高まることになる。




(山下)
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