株式明日の戦略-パウエルFRB議長の講演を前に植田日銀総裁の発言に要注目

 22日の日経平均は反発。終値は259円高の38211円。小高く始まり、開始直後にはマイナス圏に沈んだが、すぐにプラス転換すると以降は堅調に推移した。場中はドル円が円安に振れれば上げ幅を広げ、円高に振れれば萎むといったように為替にらみの状況が続いたが、前場では400円超上昇する場面もあった。後場に入るとしばらくは値を消す流れとなったが、前日終値に接近したところでマイナス圏入りを回避して切り返し、再び上げ幅を3桁に拡大。終盤にかけて強含み、大引けが後場の高値となった。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆6400億円。業種別では医薬品、倉庫・運輸、化学などが上昇した一方、銀行、証券・商品先物、ゴム製品などが下落した。証券会社が投資判断を引き上げたIHI<7013.T>が大幅上昇。半面、証券会社が目標株価を引き下げたunerry<5034.T>が大幅に下落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1033/値下がり547。ファーストリテイリングが2.5%高と強く、日経平均にも大きく貢献した。メルカリ、さくらネット、霞ヶ関キャピタル、セルシードが商いを伴って急伸。証券会社のリポートを手がかりに住友ファーマやラクスが値を飛ばした。米国で日本のゲームセンターが人気とのメディア特集を受けて、名前の挙がったラウンドワンやGENDAが物色された。

 一方、FOMC議事要旨などから米国の9月利下げが確実との見方が強まる中、三菱UFJや三井住友など銀行株が軟調。九州FGや西日本FGなど地銀株が軒並み安となった。円高への警戒がくすぶり続けたことから、トヨタ、SUBARU、ブリヂストンなど自動車関連が全般売りに押された。ディスコやSCREENなど半導体の一角がやや大きめの下落。前日新規上場のオプロが大幅に下落した。

 日経平均は反発。上げ幅を広げてくると上値が抑えられた一方、萎んでくると改めての買いが入った。今週はここまで下落と上昇を繰り返しており、きのう下げた分、きょうはやや買い手に分があったような印象。本日から24日までの日程でジャクソンホール会議が開催される。ただ、パウエルFRB議長の講演は23日で、本日の米国株は様子見姿勢が強まりそう。日本の現物市場で発言内容を消化するのは来週となる。

 あすは日銀の植田総裁が閉会中審査に主席する予定。衆議院の財務金融委員会が9時半、参議院の財政金融委員会が13時にスタートする。ライブ配信も行われるようで、発言内容やそれを報じるニュースのヘッドラインに株や為替が神経質に反応する場面があるかもしれない。7月の会合で日銀が追加利上げに踏み切り、その直後に日本株が派手に下げただけに、そのあたりを総裁としてどう捉えているのかは気になるところだ。

 日本株を見る上では引き続きドル円が重要となる。直近で植田総裁の発言がタカ派的、パウエルFRB議長の発言がハト派寄りと受け止められて円高・株安が進んだことは記憶に新しい。常識的に考えれば植田総裁は市場に配慮した発言に終始するだろうし、そうなれば過度な警戒が和らぐことで日本株は底堅く推移すると見込まれる。ただし、総裁発言が円高を呼び込んでしまうと、パウエル議長講演を前にリスク回避姿勢が強まる可能性があるため注意したい。
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