東京為替見通し=ドル円、植田日銀総裁の発言に要注目か

 22日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、シュミッド米カンザスシティー連銀総裁の発言「利下げを支持する前にさらなるデータを見る必要がある」や米10年債利回りが3.87%台まで上昇したことなどで146.53円まで上昇した。ユーロドルは1.1098ドルまで値を下げた。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、植田日銀総裁の閉会中審査での発言に注目する展開となるが、今夜のパウエルFRB議長の講演を控えて上値は限定的だと思われる。

 8時30分に発表される7月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は前年比+2.7%と予想されており、6月の同比+2.6%からの上昇が見込まれている。本日の東京市場でのメインイベントは植田日銀総裁の閉会中審査であることで、予想から大幅に外れることがない限り、市場への影響はないと思われる。

 本日は、7月31日にタカ派発言をした植田日銀総裁とハト派発言をしたパウエルFRB議長の発言機会が予定されており、両者のスタンスが変わっていないのか否かを見極めることになる。

 植田日銀総裁は、本日、衆参両院での閉会中審査(午前9時半から衆院財務金融委員会、午後1時から参院財政金融委員会)で、利上げに関する意見聴取が予定されている。
 植田日銀総裁は、7月31日の日銀金融政策決定会合での政策金利0.25%への引き上げの後の記者会見で、金利の壁と見なされている0.50%を超えて、中立金利水準と見なされている1.00%に向けた追加利上げを示唆したことで、8月5日の日経平均株価の過去最大の下落、世界的な金融市場の混乱を引き起こしたと見なされている。

 植田日銀総裁は、本来ならば、避暑地で開催されるジャクソンホール会合(8月22-24日)に参加して、主要中銀が史上初めて共同で量的引き締め(QT)に動く局面に関する意見交換などを行う予定だったと思われる。しかし、国会が閉会中にも関わらず、日銀に説明を求める議員らが開催を要請したことで、異例の審査が行われることになった。

 8月7日には、内田日銀副総裁が、株価や為替相場が不安定な状況で利上げは行わず、当面は現行の金融緩和を維持するとの考えを示したことで、ドル円も日経平均株価も底堅く推移している。内田日銀副総裁は、「植田総裁と自分との考えの違いはない。経済や物価が見通しに沿って展開していくのであれば、それに応じて金融緩和の度合いを調整していくことが適切」とも述べている。

 ドル円が146円台、日経平均株価が38000円台で推移している状況での植田日銀総裁のタカ派路線の維持、あるいは変更の可能性に要注目となる。
 昨日のオプション市場では、植田日銀総裁のタカ派発言の再現に備えて、円急騰への対応措置が取引されていた。

 植田日銀総裁は、タカ派的な見解による市場混乱に対する閉会中審査の場で、タカ派的な見解を繰り返してボラティリティーを高める発言は控えて、おそらく、内田日銀副総裁と同じく、金融市場が不安定な状況で利上げはしないと安心感を与えようとする可能性が高い。

 ドル円は、買戻しが続くことが予想されるものの、今夜23時からジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)でパウエルFRB議長の基調講演を控えていることで、上値は限定的だと思われる。

 パウエルFRB議長は、7月31日のFOMC後の記者会見で、労働市場の下振れリスクは「現在、現実のものとなっている」と述べていた。その後、8月2日に発表された米7月失業率は4.3%へ上昇し、FRBが完全雇用と見なす4.2%をわずかに上回っていた。さらに21日に米労働省が発表した年次ベンチマーク改定の速報値では、2024年3月までの1年間の雇用者増は81万8000人下方修正されており、パウエルFRB議長が懸念を示していた労働市場の下振れリスクが高まっている。




(山下)
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