東京為替見通し=ドル円、日銀金融政策決定会合の決定次第の展開へ

 30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、日銀金融政策決定会合での金融政策正常化に関する観測報道を受けて、152.66円まで下落した。ユーロ円も165.11円まで下落した。ユーロドルは欧州市場の高値1.0836ドルから1.0798ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀金融政策決定会合での決定次第の展開が予想される。

 日銀金融政策決定会合では、国債買い入れ(6兆円:6月は約5.6兆円)の「相当の減額幅」(植田日銀総裁)と政策金利(0-0.10%)の追加利上げの有無に要注目となる。

 最もタカ派的なシナリオは、減額幅が3兆円を大幅に上回り、かつ0.15%の追加利上げであり、ドル円は、長期的な攻防の分岐点である200日移動平均線151.61円方向へ向けて下落することが予想される。

 背景には、植田日銀総裁による金融政策正常化の示唆「政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整」、岸田首相の金融政策正常化要請、ポスト岸田候補の河野デジタル相や茂木自民党幹事長による利上げ要請、金融政策正常化の観測報道、6月のコア消費者物価指数(CPI)が前年比+2.6%だったことなどが挙げられる。

 日銀筋によるリークを思われる観測報道は、7月24日の「日銀は来週の金融政策決定会合で利上げを検討」、昨日の「日銀は31日の金融政策決定会合で追加利上げを検討し、短期金利を0.25%程度に引き上げる案を議論する」などが挙げられる。

 中立的なシナリオは、利上げが見送られ、減額幅が2-3兆円程度に留まった場合であり、植田日銀総裁の記者会見を見極めることになる。

 ハト派的なシナリオは、減額幅が1-2兆円程度で政策金利据え置きの場合であり、ドル円は、中期的な攻防の分岐点である55日移動平均線157.59円方向に向けて上昇することが予想される。

 背景には、1-3月期実質国内総生産(GDP)がマイナス圏でデフレギャップが解消されていないこと、26カ月連続で実質賃金がマイナス圏にあることなどが挙げられる。
 しかしながら、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明を東京時間明朝3時に控えているため、ドル円の上値は限定的だと予想される。

 豪ドル/ドルは、10時30分に発表される6月豪小売売上高(予想:前月比+0.2%)、6月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年比+3.8%)、4-6月期豪CPI(予想:前期比+1.0%/前年同期比+3.8%)に要注目か。
 今月開催された豪準備銀行(RBA)理事会では、インフレ再加速の兆候を受けて利上げについて議論されており、インフレ目標(2-3%)からの乖離に注目しておきたい。




(山下)
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