株式明日の戦略-後場プラス転換で週間でも上昇、エヌビディアの決算に注目が集まる

 23日の日経平均は続伸。終値は153円高の38364円。米国株安を受けても上昇スタート。植田日銀総裁が出席する衆議院の財務金融委員会が開催される9時半近辺で大きく失速すると、10時台半ばには円高進行を嫌気して下げ幅を3桁に広げた。しかし、節目の38000円は割り込まず、前場は2桁の下落で終了。後場は水準を切り上げてプラス圏からスタートすると、一度もマイナス圏に沈むことなく推移した。ドル円の値動きも落ち着く中、上げ幅を200円超に広げる場面もあり、3桁の上昇で終了した。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆4000億円。業種別ではその他金融、精密機器、建設などが上昇した一方、卸売、海運、電気機器などが下落した。配当見通しを大幅に引き上げたオリエンタルコンサルタンツホールディングス<2498.T>が、一時ストップ高となるなど急騰。半面、直近で騰勢を強めていたセルシード<7776.T>が利益確定売りに押されて急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり949/値下がり641。三菱重工、川崎重工、IHIの重工大手3社が大幅上昇。証券会社が目標株価を引き上げた大成建設や清水建設に強い買いが入った。ソフトバンクによる出資観測が報じられたシャープが急伸。キオクシアの上場申請観測が報じられた後場には、ローム、ティアンドエス、クエストなどが関連銘柄として賑わった。日経新聞の世論調査で「次の自民党総裁にふさわしい人」として小泉進次郎氏が首位になったことや、出馬に関する観測が伝わったことなどを受けて、同氏のおひざ元の神奈川で百貨店を展開するさいか屋に思惑買いが入ってストップ高となった。

 一方、米国でエヌビディアなど半導体株が弱かったことを受けて、日本でも半導体株が軒並み安。レーザーテック、アドバンテスト、東京エレクトロンの下げが大きかった。証券会社が投資判断を引き下げたエアトリが6%近い下落。カプコン、DeNA、ブシロード、コーエーテクモなど、ゲーム株に弱い銘柄が多かった。

 日経平均は続伸。米国株が下落して、下げを主導したのが半導体であれば、値幅を伴った下落もあるかと思われた。しかし、寄り付きからプラスで、下げに転じる場面はあったものの、終わってみれば3桁の上昇。マイナス圏で推移した時間帯も、半導体株安を警戒してというよりは、円高を嫌気したという印象が強かった。実際、円高に一服感が出てきた後場にはプラス圏に浮上している。

 半導体株はそれなりに下げているが、日本株全体へのネガティブな影響が限られたことは期待の持てる動き。来週は28日に発表予定の米エヌビディアの決算が注目され、東京市場では時間外の反応を木曜29日に消化する。当然、半導体株のボラティリティは大きくなるだろう。ただ、反応が下であった場合でも、日本株がきょうのように半導体株と一定の距離を置くことで、全体ではダメージがそれほど大きくならない可能性が出てきた。エヌビディアの決算が半導体株の買い材料になれば、素直に日本株の押し上げ材料になると見込まれる。今の日本株が必ずしも半導体株と一蓮托生となっていないことは、急落リスクを小さくしていると考えられる。


【来週の見通し】
 堅調か。日経平均は2週連続で上昇しており、戻り売りをこなしながらも水準を切り上げている。投資家のセンチメントは改善傾向にあり、まだ安値圏を脱し切れていない銘柄も多い。指数の振れ幅が大きくなることはある程度許容しつつ、個別物色が活況となるだろう。注目は28日発表予定の米エヌビディアの決算で、失望の結果となれば半導体株には厳しい展開が想定される。ただしその場合は、半導体株を避けて他の銘柄に資金が向かう公算が大きい。エヌビディアの決算反応が良ければ、グローバルでリスク選好ムードが強まる展開が期待できる。悪材料には耐性を示し、好材料には強めに反応することで、全体の底上げが続くと予想する。
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