株式明日の戦略-急落で円高リスクを再認識、5日線はサポートになるか

 19日の日経平均は6日ぶり大幅反落。終値は674円安の37388円。米国株高を好感できず、3桁下落スタート。ただ、開始直後に300円超下げたところでは押し目買いが入って急速に値を戻した。プラス圏に浮上する場面もあり、前場は小幅な下落で終えた。

 しかし、後場に入ると円高に神経質な反応を示して下げ幅を拡大。値下がりに転じる銘柄も多くなる中、下げては幾分戻しといった動きを繰り返しながら水準を切り下げていった。次第に円高と株安がお互いを勢いづけるような動きとなり、ドル円は145円台に突入。指数は700円超下げる場面もあり、安値圏で終了した。グロース250指数は前場では大きく上昇しており、後場に失速したもののプラスで終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆1600億円。業種別では小売と海運の2業種のみがプラスで、陸運の下げが限定的。一方、鉱業、機械、輸送用機器などが大幅安となった。カナダのコンビニ大手から買収提案を受けたとの観測が報じられたセブン&アイ・ホールディングス<3382.T>が、後場に入ってストップ高まで買い進まれた。半面、円高進行を受けて、トヨタ<7203.T>が後場に入って下げ幅を広げた。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり252/値下がり1373。レーザーテックや日本郵船が逆行高。JR東日本やJR九州など鉄道株の一角に資金が向かった。報道を手がかりにハートシードが急騰し、リリースのあったシンバイオがストップ高となるなど、バイオ関連が人気化。株主優待の新設を発表したアスマークが、場中は値が付かずストップ高比例配分となった。

 一方、ディスコ、東京エレクトロン、ソシオネクストなど、半導体株の多くが大幅安。ほか主力銘柄では、三菱重工、日立、リクルートなどが弱かった。原油安を嫌気して、INPEX、出光興産、富士石油などが軟調。今期の最終減益見通しが嫌気されたパンパシHDが5%を超える下落となった。

 日経平均は大幅安。後場に入って直前の急落局面がフラッシュバックしたかのように円高と株安が同時進行した。先週大きく上昇したからこそ下に値幅が出たと考えられるが、きょうのように前場と後場で大きく雰囲気が変わってしまうと、買いは及び腰になる。今週は先週に比べると米国の重要指標の発表は少ない。また、週後半のジャクソンホール会議は、パウエルFRB議長が9月の利下げを明言した場合、米長期金利が低下してドル安(円高)に振れる可能性がある。円安を期待しづらい週になるだけに、きょうのように過度に円高を嫌ってしまうと日本株は脆くなってしまう。日経平均のきょうの終値は37388円。5日線(36970円、19日時点)を明確に割り込んでしまうとそのことが新たな売りを呼び込みやすくなるだけに、あすは37000円より上で推移できるかが注目される。
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