ロンドン為替見通し=独CPI見極め、ユーロクロスの動きが左右するか

 本日の欧州市場では、ドイツの消費者物価指数(CPI)やユーロクロスの動きに左右される展開になりそうだ。

 8月のドイツCPIは7月よりインフレが、前月比では0.3%から0.1%、前年比では2.3%から2.1%への低下予想となっている。ここ最近のドイツ経済指標は非常に弱く、8月の購買担当者景気指数(PMI)は製造業が42.1まで、サービス業は51.4まで低下し、それぞれ5カ月ぶりの低水準となっている。サービス業は辛うじて景況の強弱を判断する節目の50を上回っているが、低調傾向を辿る製造業に連れて更に押し下げられるとの予想もある。すでに9月12日に行われる欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げ予想が高まっているが、CPIが予想を下振れた場合はユーロの重しになるだろう。

 また、昨日のユーロドルが軟調な動きを見せたのは、ユーロクロスが軒並み売られたことも一因。ユーロポンドは1カ月超振りに0.8410ポンド、ユーロスイスフランも0.9353フランまで弱含んだ。英国は比較的欧州圏内の中では経済状況は底堅さを見せている中で、先週ジャクソンホール会合でベイリー英中銀(BOE)総裁が「インフレに対する勝利を宣言するのは時期尚早」と発言し、ユーロ圏や米国よりも利下げに対しては慎重な姿勢を示していることがポンドを支えている。スイスも8月中旬に発表された4-6月期スイス鉱工業生産が前回値より大幅に上昇したことや、地政学リスクの避難通貨の面などもあり、スイスフランの支えになっている。本日から明日にかけては月末のフローで上下を繰り返すことにもなりそうだが、引き続きユーロクロスの動向もユーロドルに大きく影響を与えることになるだろう。

 なお、本日は欧州午前にレーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミストの講演が行われ、欧州引け後にはなるがナーゲル独連銀総裁も講演を行う。ドイツのCPI発表後ということもあり、ナーゲル総裁の講演内容により注目が集まる。ナーゲル総裁は9月(ECB理事会)に何が起こるかについて事前に約束できないとはしているものの、「データが今の路線通りなら利下げは可能なはず」と述べていることで、更にハト派寄りの発言に傾くかが注目される。


想定レンジ上限
・ユーロドル:26日に付けた年初来高値1.1202ドル。
・ポンドドル:27日に付けた年初来高値1.3266ドル。
・ユーロポンド:日足一目均衡表・転換線0.8477ポンド。
・ユーロスイスフラン:28日高値0.9420フラン。

想定レンジ下限
・ユーロドル:上昇過程にある日足一目均衡表・転換線1.1108ドルから22日安値1.1098ドルが支持帯。
・ポンドドル:28日安値1.3168ドル。その下は日足一目均衡表・転換線1.3078ドル。
・ユーロポンド:7月17日に付けた年初来安値0.8383ポンド。
・ユーロスイスフラン:5日に付けた年初来安値0.9211フラン。


(松井)
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