東京為替見通し=ドル円は上値が重い展開、豪ドルはGDPのネガティブサプライズに要警戒か

 3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、連休明けの米株式市場でダウ平均が一時780ドル超下落し、ナスダック総合が3.5%超急落したことで、米株安を受けたリスク・オフの円買いで145.16円まで下落した。ユーロドルは米国株相場の下落を背景にしたリスク・オフのユーロ売り・ドル買いで1.1026ドルまで下落。ユーロ円は米国株や日経平均先物の下落を受けてリスク回避の円買いが加速して160.50円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米国株や日経平均先物の下落を受けたリスク・オフの地合いや米10年債利回りの低下、日銀の追加利上げ観測や今週末6日に発表される米8月雇用統計への警戒感などから上値が重い展開が予想される。

 昨日、岸田政権下で最後の開催となる公算が大きい経済財政諮問会議が開催され、出席した植田日銀総裁は、物価の見通しが実現していくとすれば「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整」する方針を改めて示した。
 植田日銀総裁は、7月31日の日銀金融政策決定会合の後の記者会見と8月23日の閉会中審査でも同様の見解を示していたことで目新しさはない。
 しかし、植田日銀総裁が7月、8月、9月と一貫して追加利上げに言及していることで、10月か12月の日銀金融政策決定会合で、金利の壁になるとは認識していないと述べた0.50%への追加利上げの可能性が高まりつつあることが、ドル円の上値を重くしている。

 さらに、6日に発表される米8月雇用統計への警戒感も、ドル円の上値を抑える要因となっている。昨日は米8月ISM製造業景況指数が47.2と発表され、7月の46.8から改善していたものの、予想の47.5を下回った。そして、依然として景況感の分岐点50を下回っているため、国内総生産(GDP)に換算した場合、▲1.3%となるとのことである。雇用指数は46.0と発表され、6月の49.3、7月の43.4という低下傾向に歯止めがかかったことは、8月雇用統計に向けてプラス要因となる。しかし、先日発表された8月の米消費者信頼感指数では、職が「十分」と「就職困難」の回答から算出する労働市場格差に関する指数は7月の17.1から16.4となり、2021年3月以来の水準に縮小していた。

 米8月失業率は7月の4.3%から低下が見込まれ、非農業部門雇用者数は7月の増加幅から拡大が見込まれているものの、予断を許さない状況が続くことになる。

 10時30分に発表される4-6月期豪国内総生産(GDP)は前期比+0.3%と予想されており、1-3月期の+0.1%からやや改善することが見込まれている。しかしながら、高金利と物価高が消費や住宅建設業界の重荷になっていることで、低成長が続くことが見込まれている。また、昨日発表された4-6月期豪経常収支が6年ぶりの大幅な赤字となったことで、GDPがマイナス成長となるリスクが浮上しており、ネガティブサプライズには警戒しておきたい。前年比は+1.0%と予想されており、前期の同比+1.1%からの縮小が見込まれており、コロナ禍以来の低成長になると予想されている。

(山下)
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