東京為替見通し=ドル円、FRB議長議会証言を控え動きづらい 豪ドルは豪GDPに注目

 5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は149.71円まで下落後、150円台まで持ち直した。ユーロドルも1.0876ドルまで上昇。ドル売りの局面では米長期金利の低下幅を広げていた。ユーロ円は米国株安に伴うリスク回避の売りで162.61円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜のパウエルFRB議長の半期に一度の米下院金融サービス委員会での議会証言を控えて動きづらい展開か。ただし、米10年債利回り低下や米株下落につれてアジア株も弱含むことが予想されるなか上値は重いと予想される。

 民主党は、11月の米国大統領・議会選挙を控えて利下げによる好況持続を望んでいることで、パウエルFRB議長に対して早期の利下げ開始圧力をかけることが見込まれている。一方で、パウエルFRB議長は、注視している1月のPCEデフレーターが前年比+2.4%まで低下し、インフレ目標の2%に接近しているにも関わらず、「確信」が持てないとして、なぜ利下げを急いでいないのか論拠を示すことになる。

 さらに、2月の米ISM製造業・非製造業景況指数、雇用と物価指数の低下にも関わらず利下げを急がない理由も問われるかもしれない。

 昨日発表された2月米ISM非製造業景況指数は52.6と1月の53.4から低下し、雇用指数も50.5から48.0へ低下、価格指数も64.0から58.6へ低下していた。先週末に発表された2月米ISM製造業景況指数は47.8となり、1月の1年3カ月ぶりの高水準49.1から低下していた。そして、雇用指数は45.9へ低下し、昨年7月以来の低水準となり、今週末発表される米国2月の雇用統計への警戒感を高めている。価格指数は52.5へ低下し、コスト上昇ペースの鈍化を示唆していた。

 パウエルFRB議長は、2022年3月2日の下院での議会証言で「インフレ長期化を予測してもっと早く動くべきだった」と反省の弁を語り、3月16日にFF金利誘導目標を0.00-25%から0.25-50%へ引き上げて、昨年7月まで11回の利上げで5.25-50%に到達している。

 パウエルFRB議長は、先日、2021年の物価急上昇に関して、一時的な供給ボトルネックが原因だとみて「インフレ高進は一時的」と判断を誤ったと認めた。「後から考えれば、もっと早く引き締め策を講じておけば良かった。2021年第4四半期には、インフレは私が述べたような意味で一過性のものでないのは明らかとなった。そしてわれわれは政策を転換し、引き締めを開始した」と述べた。

 9時30分に発表される10-12月期豪国内総生産(GDP)は、前年比+1.4%と予想されており、7-9月期+2.1%からの伸び率鈍化が見込まれている。もっとも、先週発表されたGDPを形成する要素の1つでもある民間設備投資や、昨日発表された10-12月期豪経常黒字(118億豪ドル)は市場予想を上振れており、ポジティブサプライズに警戒しておきたい。

(山下)
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