東京為替見通し=ドル円、転換線148.21円を意識した値動きか 今晩はFRB議長が講演予定

 30日のニューヨーク外国為替市場でドル円は148.51円まで上昇。デイリー米サンフランシスコ連銀総裁やウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁のタカ派発言が材料視された。ユーロ圏インフレ鈍化を受けて上値重く推移していたユーロドルも、NY終盤に1.0879ドルまで下落した。ユーロ円は161.94円まで上昇後に伸び悩んだ。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜予定されているパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控えて、攻防の分岐点である日足一目均衡表・転換線148.21円を意識した値動きが予想される。

 12月12-13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、明日からFRB当局者が金融政策に関する発言を控える「ブラックアウト期間」に入る。そのため、日本時間2日1時に予定されているパウエル議長がどのようなことを話すのかが注目されている。

 パウエルFRB議長は先日、タカ派な見解として「必要と判断すれば一段の政策引き締めを躊躇しない。インフレ率を2%に下げるため十分な引き締めを行ったと完全には確信を持てていない」と述べた。しかし、ハト派的な見解として「数カ月の良好なデータで見誤るリスクと、引き締め過ぎるリスクの両方に対処できるよう、引き続き慎重に行動していく」とも言及。PCEデフレーターの伸び率鈍化を受けた後の今夜の発言に要注目となる。

 FRBがインフレ指標として注視している米10月PCEデフレーターは前年比+3.0%と9月+3.4%から減速。またコアPCEデフレーターは前年比+3.5%と、こちらも前回+3.7%から低下となった。

 PCEデフレーターの伸び率鈍化を受けて、ウィリアムズNY連銀総裁やデイリーサンフランシスコ連銀総裁は、FRBの利上げサイクルが終了した可能性があると示唆。しかしながら、物価を巡る進展が停滞すれば追加利上げの可能性を否定せず、市場で出ている早期利下げ着手の観測を退けた。これを受けて米長期金利が上昇し、ドルの買い戻しに繋がった。

 WSJ紙のFed番であるニック・ティミラオス記者は先日、「10月の米雇用統計と米CPI、7月がFedの最後の利上げとなる見方を強く示唆。12月FOMCでは、声明文をどのように修正し、FRBが利上げを見送ったことを反映させるかが大きな議論になりそうだ」と述べている。

 今月FOMCでの判断材料となる10月データは以下の通り。こちらに今後、11月雇用統計(12/8発表)とCPI(12/12発表)も加わることになる。
・雇用統計:失業率=3.9%、非農業部門雇用者数=前月比+15.0万人
・消費者物価指数(CPI):前年比+3.2%
・PCEデフレーター:前年比+3.0%

 CMEのフェドウオッチによると、米金利先物市場では来年5月のFOMCでの利下げ開始確率が高まっている。

(山下)
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