東京為替見通し=ドル円、23時5分からのパウエルFRB議長の講演待ちで動意薄か

 24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利の上昇や前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容だったことなどで145.96円まで上昇した。ユーロドルは米国株安に伴うリスク・オフのドル買いが優勢となり、1.0805ドルまで下落した。ユーロ円はドル円の上昇につれた買いで158.05円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、8月の全国消費者物価指数(CPI)の先行指標となる東京都区部CPIを見極めた後は、今夜23時5分からのパウエルFRB議長のジャクソンホール講演を控えて動きづらい展開が予想される。

 今週は、パウエルFRB議長のジャクソンホール講演への思惑から、145円台~146.40円(高値)~144.54円(安値)~145円台で推移し、過去9日間の中心値である日足一目均衡表・転換線145.55円付近に収斂してきている。講演内容がタカ派的ならば147円方向、ハト派的ならば143円方向、そして、曖昧ならば、来週発表される米7月インフレ率や8月雇用統計に向けて、もみ合い相場が続くことになるのかもしれない。

 8時30分に発表される8月の東京都区部コアCPIは前年比+2.9%と予想されており、7月の同比+3.0%からの伸び率鈍化が見込まれている。予想通りならば、8月全国CPIの伸び率鈍化の可能性が高まることになる。しかし、22日に日銀が発表した7月の消費者物価の基調的変動の分析で重視する各種コア指標は、全て過去最高の上昇率を記録していたことで、8月の総務省発表のCPIや日銀発表のコア3指標まで予断を許さない状況が続くのかもしれない。

 今週の最重要イベントであるパウエルFRB議長のジャクソンホール講演では、今後の金融政策に関して、NY連銀の自然利子率の上昇レポートに同意し、FF金利を「より高い水準でより長く(higher for longer)」維持するタカ派的見解なのか、それとも、同意せずに利上げ停止の可能性を示唆するハト派的な見解なのか、注目されている。

 昨年10月21日(金曜日)のニューヨーク市場では、ドル円が151.95円まで上昇した後、23時30分頃に本邦通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切った。当時は、米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者が「11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では通常の3倍にあたる0.75%の利上げを決め、12月に0.50%に利上げペースを落とすかどうかを議論する公算が大きい。一部の当局者は過度な景気悪化を警戒し、利上げペース減速や来年早々の利上げ停止を求めている」との記事を配信し、ドル円は反落途上だった。

 今夜も、23時5分からのパウエルFRB議長の講演での金融政策への言及で、市場が動いた場合、本邦通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切る可能性に警戒しておきたい。


(山下)
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