東京為替見通し=ドル円、まずは本邦7月CPIを見極め 円買い介入には引き続き要警戒

 17日海外の外国為替市場でドル円は、中国当局による人民元買い介入強化との報道やダウ平均の下落などを受けて、145.62円まで反落した。ユーロドルは欧米金利差縮小への思惑からユーロ買い・ドル売りが入り一時1.0918ドルまで上昇も、引けにかけて伸び悩んだ。ユーロ円は、米国株相場が下げ幅を広げたことで一時158.26円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、この後に発表される7月全国消費者物価指数(CPI)をまずは見極め。また、引き続き本邦通貨当局のドル売り・円買い介入に警戒する展開となる。

 昨日は、「中国当局は今週、人民元の急激な変動を防ぐため、国有銀行に対し外国為替市場への介入を強化するよう指示した」との一部報道をきっかけに、対人民元を中心にドル売りが優勢となった。また、日本の20年債入札が1987年以来の不調となり、日本国債10年物利回りが0.655%まで上昇したことも、円を買い戻す要因になったのかもしれない。

 8時30分に発表される7月全国CPI(生鮮食品を除く総合)の前年比予想は+3.1%と6月+3.3%から低下見込み。一方、7月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く)は前年比+4.3%と前回から上昇が予想されている。日銀がインフレ指標として注視しているこのコアコアCPIは、5月の前年比+4.3%から6月は宿泊料が全国旅行支援の申し込み再開で伸びが鈍化したことで、同比+4.2%へ低下していた。

 また日銀が2%物価目標を掲げているのに対して、コアCPIは3%以上の伸び率を連続で記録し、7月も予想通りならば11カ月連続となる。しかしながら政策金利の引き上げについて日銀は、黒田第31代総裁も植田第32代総裁も「賃金上昇の確認を待つ」と明言してきており、CPIの数字は重視されないのかもしれない。6月の実質賃金は前年比1.6%減と発表され、15カ月連続でマイナスを記録しており、こちらは金融政策正常化までは程遠い状況が続いている。

 本邦通貨当局は、昨年3回、ボラティリティー抑制を名目にしたドル売り・円買い介入を断行。介入はボリンジャー・バンド+2σ付近で行われ、その後の安値は日足一目均衡表・基準線付近だった。本日の高値の目安となる+2σ水準は147.25円付近、安値の目安となる基準線は141.91円となっている。

 ドル円のテクニカル分析では、高値圏での孕み線での反落は売りを示唆、そして、相対力指数(RSI)やストキャスティックは、ドル円が146.56円まで高値を更新したにも関わらず、高値を更新できていないことで、逆行現象(ダイバージェンス)による売りシグナルとなっている。

(山下)
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