ロンドン為替見通し=ユーロドル、米金利先安観が支え、欧州金融当局者の発言にも注目

 本日のロンドン為替市場でユーロドルは、米金利先安観の強まりが支えとなるか。イベントは複数の欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーの講演と、7月ユーロ圏鉱工業生産の発表などが予定されている。

 ECB理事会は昨日、市場予想通りの幅で政策金利を引き下げた。声明では「決定は会合ごとに実施し、特定の道筋に事前にコミットしない」とのガイダンスを維持した。ラガルドECB総裁も定例記者会見で次の一手についてのヒントを与えなかった。来月の次回会合まではわずか5週間しかなく、手がかり難のなかで市場では早期追加利下げ観測は後退している。

 ハト派を勇気づける数少ない材料としては、ECBがユーロ圏の経済成長見通しを小幅ながらも下方修正したこと。一方、今年と来年のコアインフレ予測は小幅に引き上げられており、こちらも足もとでの様子見ムードを広めている。

 一方、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)について、依然として0.50%の利下げも検討しているとの一部報道を受けて米金利先安観が強まっている。こちらがNY午後からドルの上値を抑える要因の1つとされた。東京時間ではドル円の売りからユーロ円の売りに波及してしまったため、ユーロドルの上げは鈍いものの底堅くはある。欧州勢の参入後の動きに注目したい。

 本日は欧州早朝にナーゲル独連銀総裁へのライブインタビューが行われる。昨日のECB決定やドイツ経済の状況についてナーゲル総裁は答えるもよう。他レーン・フィンランド中銀総裁の講演や、ラガルドECB総裁もブダペストで講演予定。ラガルド総裁については、昨日の会見内容以上のことは話さないと思われるが、何かしらの言葉尻を捕らえて相場が反応するかもしれない。

 なお、7月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%/前年比▲2.7%)は遅行指標ではあるものの、マイナス幅の度合いに目を向けておきたい。

想定レンジ上限
・ユーロドル、8月29日高値1.1140ドル

想定レンジ下限
・ユーロドル、9月11日安値1.1002ドル


(小針)
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