ロンドン為替見通し=ユーロドル、方向感探る展開か 欧州地政学リスクにも警戒

 本日のロンドン為替市場でユーロドルは、1.08ドル台で方向感を探る動きか。先週末は、ユーロ圏インフレ指標の上振れや若干弱かった4月米PCEコアデフレーター(前月比)を受けて上値を試すも、1.08ドル後半では伸び悩んだ。ただ下押し幅も限られており、足もとでは1.0839ドルで横ばいの日足一目均衡表・転換線を意識しながらの動きとなっている。

 週明けは欧米長期金利や株価動向を睨みながら、テクニカル的には1.0820ドル台で上向きの21日移動平均線や1.08ドルの90日移動平均線などがサポートとして働くか注目したい。上サイドは、先週末に届かなかった5月28日高値1.0889ドルがポイントとなりそうだ。

 今週6日に開かれる欧州中央銀行(ECB)理事会では、0.25%利下げがほぼ確実視されている。政策金利の変更は昨年9月以来、利下げに限ると2016年以来の決定。もっとも、市場の織り込み度が進んでいるため結果自体は材料視され難い。市場参加者の関心は「2回目の利下げはいつか」に移っており、そうなると、何かしらのヒントが出るかもしれないラガルドECB総裁の定例会見まで待たねばならない。

 欧州経済指標では、主要国やユーロ圏の5月製造業PMIが発表されるものの改定値であり、基本的には相場インパクトは弱いだろう。ただし、速報値が総じて予想より強かった分だけ、下向きの修正には気をつけたい。

 他、欧州地政学リスクの高まりにも警戒が必要か。米国製兵器を使い、ウクライナ軍がロシア領内に攻撃する可能性が高まりつつある。ゼレンスキー・ウクライナ大統領は昨日、米国防長官と会談し、前述した可能性について議論したもよう。実際にロシア領内に向けて米兵器が使用された場合、北大西洋条約機構(NATO)対ロシアの構図が鮮明となり、戦火拡大への懸念が高まる。

想定レンジ上限
・ユーロドル、5月28日高値1.0889ドルを超えると3月21日高値1.0943ドル
・ユーロスイスフラン、日足一目均衡表・転換線0.9850フラン

想定レンジ下限
・ユーロドル、90日移動平均線1.0800ドル
・ユーロスイスフラン、日足一目均衡表・雲の下限0.9661フラン


(小針)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。