NY為替見通し=流動性悪化の中での140円割れに警戒、ミシガン大インフレ期待発表予定

 欧州時間入り後にドル円は再び年初来安値を更新している。この後も流動性が悪いことで、ポジション調整が入った場合は1円超の買い戻しが入る場面もあるかもしれないが、調整以外ではドル円を買う要因はなく、中長期的なダウンサイド・トレンドは変わりそうもない。

 本日のNY時間での経済指標では、通常は市場が敏感に反応することもあるミシガン大学調査による9月の消費者態度指数のインフレ期待が発表されるが、本日は市場の反応が限られるかもしれない。

 通常はインフレ期待に反応する為替相場だが、先月23日のジャクソンホール会議でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「インフレ率が2%への軌道にあるとの確信を強めた」と述べて以来、インフレ指標への反応が短時間で終わっている。今週発表された8月の消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)ともに、指標への反応は「行って来い」になっていることを考えると、ミシガン大のインフレ期待で大きくトレンドに変化をもたらすのは難しいかもしれない。1年先のインフレ期待は前回の2.8%と同程度になると予想されているが、予想と大きなかい離がない限りは無風に終わるかもしれない。

 もっとも、上述のように市場流動性が7月末から悪化したままでもあり、急にドルが調整の買い戻しされたり、年初来安値をトライするリスクは常にある。7月の日米金融政策後には、日米金利差の縮小の見込んで、欧米系のファンドは8月上旬から円ショートから円ロングに反転している。一方で、依然としてアベノミクスから続く円キャリートレードから離れられない本邦のFX投資家も多くいる。市場流動性の薄い本日のNY時間や、本邦が3連休を迎えることもあり、来週月曜のオセアニア時間で140円割れのストップロスを狙いに行く動きには警戒しておきたい。


・想定レンジ上限
 ドル円は、これまでの日通し高値141.87円。
 
・想定レンジ下限
 ドル円は、これまでの昨年12月28日安値140.25円や節目の140.00円。割り込むと138円を目指す展開か。



(松井)
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