NY為替見通し=ドル円、8月米CPIに注目

 東京市場で中川日銀審議委員の発言を受けて日銀の早期利上げ観測が強まり、ドル円は140.71円まで年初来安値を更新した。欧州タイムに入っては買い戻しが入るも141.70円近辺で戻りが一服し141円前半に押し戻されている。

 中川日銀審議委員は先行き日銀の経済・物価見通しが実現していくとすれば、物価目標実現の観点から金融緩和の度合いを調整していくことになると述べた。中川委員の発言はこれまでの日銀正副総裁と同様の内容で、日銀のコンセンサスとして方針が一致していると受け止められ円買いが進んだ。日銀の追加利上げと米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始が基本コンセンサスとなっているなか、足もとでドル円は新規の買いが入りにくい状況が続いており、ドル円の戻り局面では売り圧力が強い。

 NY市場では8月米消費者物価指数(CPI)に焦点が集まっている。市場では8月米CPIが前年比+2.6%と2021年3月以来の水準まで5カ月連続での鈍化が見込まれている。大幅なサプライズとならない限り、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げにとどまるとの見方は変わらず、ドル円に買い戻しが入りそうだ。だた、CPIが予想以上に伸びが鈍化すれば、0.50%の利下げ思惑が再燃しそうだ。8月の米雇用統計が方向感に欠ける結果となったこともあり、8月CPIの結果次第ではドル相場の反応が大きくなる可能性がある。

・想定レンジ上限
 ドル円、本日これまでの高値142.47円や6日の高値144.01円が上値めど。

・想定レンジ下限
 ドル円、本日これまでの安値140.71円や昨年12月28日安値140.25円が下値めど。下抜けると昨年7月以来の140円大台割れが視野に入る。

(金)
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