ロンドン為替見通し=ユーロドル、上値限定か さえない独景況感が重しに

 本日のロンドン為替市場でユーロドルは上値の伸びは限定的か。欧州最大の経済規模を誇るドイツの景況感がさえないことがその要因。昨日明らかになった9月独製造業購買担当者景気指数(PMI)は40.3と若干の改善予想から下振れし、約1年ぶりの水準まで悪化した。サービス部門PMIはかろうじて50を上回ったものの、こちらも予想より弱かった。

 本日は欧州前半に9月独Ifo企業景況感指数が発表され、前回を下回る86.0が市場予想。前回8月は予想比で上振れたものの、結果としては7月分には届かず。今回が見込み通りであれば、2月以来の低い水準となる。

 昨日もフォルクスワーゲン・グループが、独国内で最大3万人の人員削減を計画していることが報じられた。同グループは既に幾つかの国内工場を閉鎖するとされており、経営陣は労働組合との雇用保証協定を打ち切る方針を示している。ドイツを代表する企業の低迷は、同国成長の弱さを象徴しているとも言える。ユーロ圏経済のセンチメントの悪化から同圏金利への低下圧力の強まりも想定され、ユーロの上値の追いづらさに繋がるかもしれない。

 他、ユーロ圏の金融当局者の講演が複数予定されている。欧州午前にミュラー・エストニア中銀総裁、昼頃にはエスクリバ・スペイン中銀総裁、夕方にナーゲル独連銀総裁が今後の景気・インフレ、そして金利動向にどのような見解を示すか注目したい。

 なお、日本とロシアを巡る地政学リスクの高まりにも警戒が必要か。ロ軍の哨戒機が昨日、日本の領空を3度に渡って侵犯した。これに対して航空自衛隊は、緊急発進した戦闘機で「フレア」による警告を実行。なおロシア政府は先週末、「敵対する国・地域」リストを公表し、その中には日本も含まれている。

想定レンジ上限
・ユーロドル、18日高値1.1189ドル
・ユーロポンド、昨日高値0.8387ポンドやそのすぐ上の一目・転換線0.8389ポンド

想定レンジ下限
・ユーロドル、19日安値1.1069ドルを割り込むと11日安値1.1002ドル
・ユーロポンド、2022年4月安値0.8250ポンド



(小針)
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