NY為替見通し=中東情勢に注意しつつ米雇用状況や要人発言を確認

 本日のNY市場でのドル円は、緊迫度が高まる中東情勢に注意しつつ、米雇用状況や米要人発言を確認してゆくことになりそうだ。

 まずは米雇用状況について、9月ADP雇用統計が注目。市場予想は12.0万人増と前月の9.8万人増より増加が見込まれている。9月30日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「労働市場はこの1年落ち着いてきたが、依然力強い」などと発言したのは記憶に新しい。

 今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)は残すところあと2回であり、現時点での金利先物市場では年末までに合計で0.75%の利下げを織り込み済み。本日のADPが予想を上回る結果となれば、年内の大幅利下げ観測が後退してドル買いで反応することも考えられる。

 昨日は、イランがイスラエルに弾道ミサイル攻撃を仕掛けたことで一時的にリスク回避の流れとなる場面が見られた。イスラエルは反撃する姿勢を示しており、中東情勢が一段と悪化する場面では、ドル円は神経質な動きを迫られそうだ。とはいえ、昨日は報道を受けて約1円下落した後は切り返す動きとなり、本日に入り下落分を取り戻している。「遠くの戦争は買い」の相場格言が示す通り、押し目を作るだけかもしれないが、直後は市場の混乱で荒れた展開となる恐れがある点に注意が必要だろう。

 なお本日は、ハマック米クリーブランド連銀総裁やムサレム米セントルイス連銀総裁、ボウマンFRB理事の発言機会が設けられている。年内の利下げ幅や雇用状況などへの言及には注目しておきたい。

 そのほか、NY時間午後には欧州中銀(ECB)のシュナーベル専務理事が講演予定。昨日発表された9月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比+1.8%と、約3年ぶりにECBのインフレ目標の2%を下回った。8月30日に「金融政策はインフレ目標2%に焦点を当てるべき」などと話しており、今後の金利見通しや金融政策について発言が出るか注目される。
 

想定レンジ上限
・ドル円は昨日高値144.53円を超えると節目の145.00円
・ユーロドルは昨日高値1.1144ドル。超えると9月30日高値1.1209ドル

想定レンジ下限
・ドル円は日足・一目均衡表の基準線143.40円。割ると昨日安値142.98円
・ユーロドルは日足・一目均衡表の雲の上限1.1038ドル。割ると雲の下限1.0934ドル


(川畑)
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