週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、日銀の利上げ期待後退で底堅い

◆ドル円、石破首相の発言を受けた買いの流れが来週も継続か
◆ドル円、大型連休明けの上海株の動向や米CPIにも注目
◆ユーロドル、ECBの利下げ観測から上値重い

予想レンジ
ドル円   145.00-150.00円
ユーロドル 1.0750-1.1150ドル

10月7日週の展望
 ドル円は、日銀の早期利上げ観測後退から底堅い地合いが続きそうだ。石破首相は2日、植田日銀総裁との会談後に「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と発言するなど、従来から主張していた考えを一変させたことで金融市場では円安・株高が急速に進んだ。日銀の金融政策に対する国内外の金融市場に対する影響力が極めて高まるなかで、27日に控える解散総選挙を前に株価を下げさせない意図が含まれていることも考慮すると、市場の混乱を避けるために配慮している姿勢が窺われる。来週も日銀の緩和維持を見越した円売り・株高の流れは続きそうだ。

 また、8日からは中国市場が大型連休明けとなり、上海株の動向にも注目が集まる。中国政府が不動産市場のてこ入れ策として住宅購入の規制緩和を行ったことで中国の不動産株価指数が急騰し、上海株の上昇期待が一段と高まっている。一部では「中国による景気支援策に対する株価の反応が過剰すぎる」と警戒する声も聞かれており、株価動向が円相場にも影響を与えそうだ。

 経済イベントとしては、米国では10日に9月消費者物価指数(CPI)が予定されている。11月6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ予想は4日時点で0.25%が6割、0.50%が4割程度とまだ完全には織り込まれておらず、その結果に注目したい。

 一方で、イスラエルとイランを巡る地政学リスクには警戒感が高まっている。「1日にイランがイスラエルを攻撃した報復措置を数日以内に行われる可能性」と伝わるなか、バイデン米大統領も「報復を議論している」と発言したことで現実味を帯びている。核施設攻撃という最悪の事態は避けられそうだが、石油施設攻撃による原油先物相場のさらなる急騰には注意したい。

 ユーロドルは、頭の重い動きが想定される。足元で発表されたユーロ圏の経済指標に弱い結果が目立ってきたほか、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が「最近の物価指標はインフレ率が速やかに目標に戻るという我々の確信を強めるもの」「次回理事会でこれを考慮する」と発言したことで17日会合での利下げ観測が急速に高まっている。カザークス・ラトビア中銀総裁も利下げに賛同しており、徐々に追加利下げが市場で織り込まれつつあり、ユーロ売りが優勢となりそうだ。

9月30日週の回顧
 ドル円は週明けこそ141.65円まで下押ししたものの、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のタカ派発言を受けて買い戻しが優勢に。2日には石破首相の発言で円が全面安の展開。翌3日には一時147.24円まで買い上げられた。
 ユーロドルは上値の重い動き。週明けは1.1209ドルまで上昇したが、その後はECBの利下げ観測や米長期金利の上昇に伴って売りが優勢に。週後半には一時1.1008ドルまで値を下げた。(了)
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