株式明日の戦略-早々に失速するもプラスは確保、三連休前に米CPIを消化

 10日の日経平均は続伸。終値は102円高の39380円。米国株高を受けて大きく上昇して始まり、開始直後には上げ幅を300円超に拡大。39600円台に乗せたところで買いは一巡し、以降は値を消す流れが続いた。後場のスタート直後には39200円台に突入し、上げ幅を一桁にまで縮小。ただ、マイナス圏入りは回避して踏みとどまり、そこからはやや盛り返して3桁の上昇で取引を終えた。グロース250指数は開始早々にマイナス圏に沈んで下げ幅を広げており、1%を超える下落となった。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆5200億円。業種別ではゴム製品、保険、銀行などが上昇した一方、小売、サービス、繊維などが下落した。前期の計画上振れ着地や今期の大幅増益見通しが好感されたプログリット<9560.T>が急騰。半面、今期の見通しが市場の期待に届かなかったサイゼリヤ<7581.T>が大幅に下落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり646/値下がり939。ソフトバンクGがダウ平均やS&P500の史上最高値更新に好反応を示して4%近い上昇。米長期金利の上昇を手がかりに、三菱UFJや三井住友など銀行株に買いが入った。ドル円が円安に振れたことから、スズキやSUBARUなど自動車株が全般堅調。投資ファンドに絡むニュースを材料にライオンが大幅高となった。

 一方、アドバンテスト、レーザーテック、ディスコなど半導体株が全般軟調。売買代金上位では川崎重工やメルカリがやや大きめの下げとなった。決算が失望を誘ったイオンが8%を超える下落。屋内レジャーを展開するイオンファンタジーやラウンドワンが、それぞれ業績に関するリリースを材料に大幅安となった。

 日経平均はプラスは確保したが、きのう同様に高く始まった後は伸び悩んだ。きょうの高値は39616円。9月27日に39829円まで上昇したところで4万円に届かず失速しているだけに、この近辺では戻り売りも出やすくなるということなのだろう。

 本日、米国では9月の消費者物価指数(CPI)が発表され、結果次第では米国の長期金利やドル円が大きく動く可能性もある。米国株が強ければ、あすは寄り付きから大幅高となる展開も期待できる。ただ、東京市場は翌週の月曜が休場。スタートから9月27日の39829円を上回るレベルの上昇とならない限り、高いところがあれば利益確定やリスク回避目的の売りが上値を抑えるとみておいた方が良さそうだ。一方、ここ数日は上値が重いだけで、下値は着実に切り上げている。先週末(38635円、10/4)との比較ではきょうの時点で745円上昇しており、下振れスタートとなった場合には押し目は拾われるだろう。今週はここまで5日線(39112円、10日時点)より上での推移が続いているだけに、同水準がサポートとして機能するかどうかに注目しておきたい。


(山下)
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