東京為替見通し=ドル円、8円弱上昇し買いの勢いは一服、中国も明日の政策発表待ち

 昨日の海外市場でドル円は、9月米消費者物価指数(CPI)が予想を上回ると全般ドル買いが強まり、一時149.53円付近まで値を上げた。しかしながら、アジア時間につけた日通し高値149.55円が目先レジスタンスとして働くと失速。前週分の米新規失業保険申請件数が予想より弱い内容だったことが嫌気され、一時148.30円と日通し安値を付けた。ユーロドルは一時1.0900ドルと8月8日以来約2カ月ぶりの安値を更新したが、一巡後は下げ渋り1.09ドル前半に戻した。

 本日の東京時間のドル円は148円台でのもみ合いか。昨日は米CPIが予想比で上振れたにもかかわらず、ドル買いの勢いは弱まった。先週9月30日につけた安値141.65円から昨日は149.55円まで8円弱ほぼ一本調子で上昇したこともあり、行き過ぎた動きに調整が入っている。

 為替市場だけではなく債券市場でも、米長期債利回りは連日の上昇から一服感が出ている。また、昨日の米CPIの結果を受けてシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」は、11月6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ予想が約87%に上昇した。一方、据え置き予想は昨日の3割弱から1割強まで縮小。週末を前に新たに上値を追いかけていく展開にはなりにくそうだ。

 本日は香港市場が重陽節のために休場。本邦やアジア市場からは特段市場を動意づけるような経済指標の発表が予定されていないことも、レンジを抜けだすことを難しくするだろう。

 ただし、その中で警戒しなくてはならないのは石破首相の言動など、政治的な動き。ラオスで行われている東南アジア諸国連合(ASEAN)に出席している首相は、アジア版北大西洋条約機構(NATO)構想など持論を封印して選挙対策を優先している旨がある。(日銀の早期利上げを否定した)石破サプライズが巻き起こした円安の流れについて、週末を含め首相が市場の警戒感を高める言葉を発するリスクには要警戒となりそうだ。

 なお中国では、明日12日に藍仏安・中国財務相が財政政策に関して会見予定。その結果待ちとなり、中国市場も本日は様子見ムードが広がるか。

(松井)
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