東京為替見通し=ドル円、150円を巡り本邦通貨当局の円買い介入の可能性に要警戒か

 16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、ダウ平均が史上最高値を更新して投資家のリスク志向改善による円売り・ドル買いで149.81円まで上昇したものの、米10年債利回りが3.99%台まで低下したことで伸び悩んだ。ユーロドルは欧州中央銀行(ECB)理事会での追加利下げ観測などから1.0853ドルまで下落。ポンドドルは英中銀の利下げ観測から1.2977ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、150円のオプションの防戦売りや本邦通貨当局の円安抑制の可能性(口先介入やドル売り・円買い介入)に警戒する展開が予想される。

 8時50分に発表される9月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前2376億円の赤字、季節調整済5210億円の赤字)では、本邦実需筋による貿易絡みの円売り圧力を確認することになる。1-8月の貿易赤字は約4.6兆円の円売りとなっている。
 新NISA(少額投資非課税制度)による海外株式型投信の資金流入額は、1-8月で約9兆円となっており、本邦実需筋による円売り圧力がドル円の140円以下への下落を阻止してきた。
 この本邦実需筋の円売り、そして米連邦準備理事会(FRB)の大幅な追加利下げ観測の後退や日銀の早期の追加利上げ観測の後退から、ドル円は161.95円から139.58円までの下落幅(22.37円)の半値戻し150.77円を目指す上昇基調にある。

 しかし、衆院選の争点が物価高対策となっていることで、石破政権は、輸入物価上昇の要因となる円安の抑制を徹底すると思われるため、本邦通貨当局による円安抑制(口先介入やドル売り・円買い介入)の可能性には引き続き警戒しておきたい。
 これまで、三村財務官や加藤財務相が「投機的な動きを含めて為替市場の動向を注視する」と円安を牽制し、為替介入の助言役を担っている神田内閣官房参与(前財務官)が「為替市場、引き続き高い緊張感持って警戒続けていく」と述べており、150円台に向けた買い仕掛けを牽制してきている。

 9時30分に発表される9月豪雇用統計(予想:失業率4.2%/新規雇用者数2.50万人)では、8月の新規雇用者の増加が非正規雇用の大幅増に支えられたものだったため、正規雇用が増加するかに注目したい。
 9月の豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨では、「他国の金利と同調して動く必要はない」と早期の利下げに否定的な見解が示されていた。ハウザーRBA副総裁も「インフレは持続する。インフレとの戦いでRBAは強固な姿勢を維持すべき。インフレ率が高止まりした時には行動するだろう」とタカ派的な姿勢を示していた。

 9月豪雇用統計では、オーストラリアの雇用情勢を確認して、RBAの利下げ時期を探ることになる。一方、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は、利下げ3大要素(景況感の悪化、雇用情勢の悪化、インフレ率低下)に直面しているため、追加利下げ観測が高まっている。

(山下)
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