ロンドン為替見通し=ユーロドル、下値警戒感は残る 金融当局者の見解を確かめ

 週明けのロンドン為替市場でもユーロドルの下値警戒感が残るなか、複数の欧州金融当局者の発言を確かめながらの取引となりそうだ。また、欧州の地政学リスクにも警戒しておきたい。

 先週末のユーロドルは買い戻し先行も1.06ドルに届かず、結局1.05ドル前半まで上値を切り下げた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の「利下げ急がず」発言が話題となるなか、米経済指標も概ね良好な結果となって米利下げ余地の狭まりが意識された。一方、欧州金利先安観はくすぶったままであり、欧米金利差の拡大基調がユーロドルの重しとなっている。

 本日は欧州序盤からナーゲル独連銀総裁やデギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁の講演から始まり、その後はマクルーフ・アイルランド中銀総裁の発言が予定されている。また、欧州午後にもストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁に加え、ECBチーフ・エコノミストであるレーン専務理事も講演予定。

 先週公表された10月ECB理事会(追加利下げが決定)の議事要旨では、今後数カ月のインフレ上昇見込みが指摘されたものの、来年中には目標値まで低下するとの予想も示された。金融政策については引き続きデータ依存とし、会合ごとにアプローチするとのスタンスは変わらず。

 本日の金融当局者の講演では、3週間半ほど先となる次回ECB理事会への見解がやはり注目されるだろう。ユーロドルの地合いが弱い分だけ、追加利下げに対する言及に市場は敏感に反応しそうだ。またナーゲル独連銀総裁が、不安定さが浮き彫りになった独政局の経済に対する影響についてどのように語るかも興味深い。

 新たな動きが見られそうなウクライナ・ロシア戦争の行方も注視する必要がある。バイデン米政権は週末、ウクライナが米製長距離ミサイルでロシア領内を攻撃することを許可したもよう。北朝鮮兵士のロシア側ウクライナ戦線投入を受けた決定とされた。ロシアの強い反発は当然予想され、地政学リスクの高まりが懸念される。

想定レンジ上限
・ユーロドル、15日高値1.0593ドルが目先の上値めど。超えると13日高値1.0653ドル。

想定レンジ下限
・ユーロドル、14日安値1.0497ドルが目先の下値めど。割り込むと2023年10月3日安値1.0448ドル。


(小針)
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