NY為替見通し=トランプトレードは継続予想、注目はトランプ政権の財務長官

 本日のNY時間のドル円は、引き続きトランプトレードによるドル買いのセンチメントが急変するのは難しいだろう。

 先週急激に進んだトランプトレードの流れだが、週末15日には大幅にポジション調整が入った。一時は米大統領選の投開票が伝わった時の安値151.30円と15日高値156.75円の半値にあたる154.03円近辺も割り込むなど、ドル円の調整幅は大きくなった。今週の週前半は米国からの経済指標は市場を動意づけるには注目度が若干低いものが多いことで、15日高値を超えていくのは難しいかもしれない。
 しかし、トランプトレードだけではなく、先週パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「経済情勢は極めて良好であり、利下げを急ぐ必要があるというシグナルを発していない」と発言して以来、今年の12月の利下げ予想が6割程度まで低下し、来年1月は据え置き予想が8割近くを保ったままであることを考えると、ドルを積極的に売り込む要素は少なさそうだ。
 
 本日米国からは11月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数や9月対米証券投資動向が発表される。ただ両指標とも市場を動意づけることがあまりないことで、今回もよほどのことがない限り、市場の反応は鈍いだろう。

 経済指標への反応は乏しいだろうが、警戒しなくてはならないのは、先週から続々と発表されている第2次トランプ政権の閣僚メンバー。特に為替市場をはじめ金融市場に多大な影響を与える財務長官の指名には要注目。

 週末16日にはイーロン・マスク氏とロバート・F・ケネディ・ジュニア氏がカンター・フィッツジェラルドのCEOハワード・ラトニック氏を支持すると表明した。しかし、トランプ氏の政権移行チームの共同議長を務めるラトニック氏について、トランプ氏は政権移行チームの責任者としてのパフォーマンスに憤慨しており、マスク氏達が自身の利益のために支持の表明を操作したのではないかと考えていると報じられている。なお、ラトニック氏は「関税への依存度を高め、所得税を減税する経済」を主張している。

 米マスメディアでは他に、投資家のスコット・ベセント氏(ラトニック氏同様に高関税・所得減税主張)、元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏(タカ派とされているが、米国の債務の急増については批判)、億万長者のマーク・ローワン氏(米国の経済問題はいわゆる「全面的な変化」によって解決されなければならないと主張)など様々な名前が挙がっている。また、直近ではテネシー州選出の共和党上院議員ビル・ハガティ氏の名前も候補として挙がっている。

・想定レンジ上限
 ドル円の高値めどは、本日高値155.14円。その上は先週末のNY時間高値155.77円近辺。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値めどは、本日安値153.84円。その下は12日安値153.41円。


(松井)
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