週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、米CPIや日銀短観に注目

◆ドル円、17-18日のFOMCに向けて米11月CPIに注目
◆ドル円、18-19日の日銀金融政策決定会合に向けて12月調査の日銀短観を見極め
◆ユーロドル、ECB理事会での利下げ幅に注目

予想レンジ
ドル円   148.00-152.00円
ユーロドル 1.0300-1.0700ドル

12月9日週の展望
 ドル円は、17-18日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げの有無に焦点が集まる中、11月の消費者物価指数(CPI)に注目する展開が予想される。11月CPIの予想は、総合が前年比2.7%で10月の2.6%からの上昇が見込まれているが、コアは3.2%で10月の3.3%からの伸び率鈍化が見込まれている。パウエルFRB議長は、先日「利下げを急ぐ必要はない」と発言しており、11月のCPIが予想以上に上昇していた場合は利下げ見送り、伸び率が鈍化していた場合は0.25%の利下げの可能性が高まることになりそうだ。

 18-19日に開催される日銀金融政策決定会合では、植田日銀総裁が「追加利上げ時期は、データがオントラックに推移しているという意味では近づいている」と述べているように、0.50%への追加利上げ観測が高まっている。ただ、「円安進行などで物価の上振れリスクが強まらなければ、12月会合での政策変更を見送る可能性がある」とも一部で報道されており、今週、中村日銀審議委員が「年内に利上げするかは日銀短観などのデータを見て判断したい」と述べていたように、12月調査の日銀短観での円安による影響を見極めることになる。

 また、トランプ次期米大統領の発言にも引き続き警戒したい。トランプ氏は先日、中国やカナダ、メキシコに対して厳しい関税を課すことを表明した。今年4月にドル円が34年ぶりの高値を更新して154円台に乗せた際にも、「アメリカの製造業にとって大惨事」と述べており、今後もドル高円安を牽制するような発言が出てくる可能性もある。

 ユーロドルは、12日のECB理事会での追加利下げ観測や独仏の政情混迷懸念、さらにトランプ関税への警戒感から上値が重い展開が予想される。市場は、0.25%の利下げを予想しているものの、ユーロ圏の景気低迷により0.50%の大幅利下げの可能性も浮上している。ユーロ圏での経済規模トップのドイツでは景況感が悪化するなか連立政権が崩壊。2番手規模のフランスでも内閣不信任案可決によりバルニエ仏首相が辞任に追い込まれた。更に、トランプ関税により欧州全体の景況感悪化と物価上昇懸念が高まっており、ユーロの上値を重くしている。

12月2日週の回顧
 ドル円は、韓国大統領が非常戒厳令を宣布したことによるリスク回避の円買いで148.65円まで急落も、戒厳令がすぐに解除され、一部が「日銀が12月会合での政策変更を見送る可能性」と報じたことで151.23円まで反発した。ただ、中村日銀審議委員の発言で149.66円まで反落する場面があるなど不安定な動きとなっている。ユーロドルは、ECB理事会での追加利下げ観測や仏政局を背景に1.0589ドルから1.0461ドルまで下落したが、米10年債利回りの低下などを受けて1.0594ドルまで反発した。(了)
(執筆:12月6日、9:00)
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