東京為替見通し=ドル円、11月の輸入物価指数を受けた日銀利上げ確率の変化に要注目か

 10日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが4.24%台まで上昇したことで152.18円まで上昇した。ユーロドルは米長期金利の上昇に伴うドル買いや欧州中央銀行(ECB)の利下げ継続観測などから1.0499ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、11月の輸入物価指数を受けた18-19日の日銀金融政策決定会合での0.25%の追加利上げ確率の変化を見極める展開が予想される。

 昨日のドル円は、18-19日の日銀金融政策決定会合での0.25%の利上げ確率が20%台半ばに留まっていることなどで、中長期的な攻防の分岐点である200日移動平均線を上抜けて、一時152.18円まで上昇した。本日も、200日移動平均線(152.01円)を念頭に置きながら相場に臨むことになる。

 フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ確率は86%程度に高止まりしており、利下げは既定路線となっている。
 今夜発表される米11月の消費者物価指数(CPI)の伸び率が予想以上に上昇していた場合、利下げ確率が低下して、ドルの買い要因となるため要警戒か。
 
 一方で翌日物金利スワップ(OIS)市場が織り込む18-19日の日銀金融政策決定会合での0.25%の利上げ確率は、12月初めに60%台後半まで上昇していたが、現状は20%台半ばまで低下してきており、ドル円の買い戻しに繋がっている。

 11月30日に報じられた日本経済新聞電子版の植田和男日銀総裁のインタビューでは、総裁は追加利上げの時期について「データがオントラック(想定通り)に推移しているという意味では近づいている」との認識を示していた。
 また、12月5日のハト派の中村日銀審議委員の講演でも、オントラックに言及があり、利上げの是非を判断する情報として、毎月勤労統計調査、GDPの2次速報(※上方修正)、12月調査の日銀短観(※13日発表)などのデータを確認したい、と述べていた。

 10月の実質賃金は前年同月と同水準だった。今年6月に27カ月ぶりにプラスに転じた後、8月と9月は、2カ月連続でマイナスとなっていた。
 7-9月期の実質国内総生産(GDP)は上方修正(前期比+0.3%、年率換算+1.2%)されていた。
 本日発表される11月の輸入物価指数が、10月の速報値(前月比+3.0%、前年比-2.2%)から上昇していれば、植田日銀総裁が注視する円安による「第1の力」への警戒感が高まることになる。

(山下)
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