NY為替見通し=ドル円は買い遅れで下値は限定的か、米PCEとOPカットには要注目

 本日のNY時間のドル円は、もみ合いとなりそうだ。東京時間に入り本邦通貨当局者の円安けん制発言などもあり、ドル円は上値が重く推移している。欧州入り後は、欧州通貨に対してドル安が進んでいることも重しになっている。ただ、昨日の植田日銀総裁の2つのサプライズ(利上げが3月以後の可能性と輸入物価指数を鑑みると為替水準を憂慮していないと捉えられる発言)を払しょくするほどのものは何もなく、週末を前にしたポジション調整の域をまだ出るほどの勢いはない。植田総裁の会見はサプライズだったことで、ドル円は下がったところでは買い遅れている市場参加者が買いを入れてくる可能性が高そうだ。

 本日のNY時間では通常であれば市場を大きく動意づける11月の米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)が発表される。市場予想は前年比で前月の+2.3%から+2.5%への上昇が予想され、コアデフレーターも前年比で+2.8%から+2.9%への上昇が予想されている。米連邦準備理事会(FRB)が最も注目しているインフレ指標ではあるが、昨日の米経済指標の反応も限られたことを考えると、本日も値動きは一時的になる可能性がある。今週の米連邦公開市場委員(FOMC)では、ドット・プロットが2025年末時点の中央値を上方修正、またパウエルFRB議長は会見で「今回の利下げ決定はぎりぎりの判断だった」などと発言していることで、FRBの見解がPCEだけで変わるとも考えにくいことで、特にインフレが市場予想よりも低下していた場合の反応は限られそうだ。逆にインフレが予想より上昇していた時の方が相場の反応が敏感になるか。

 ドル円は買い遅れが目立つものの、週明けは日銀関係者が上述の植田日銀総裁の発言を修正する可能性もありそうだ。7月の日銀金融政策決定会合での植田日銀総裁の会見では、今後の更なる利上げを示唆し、市場が驚くほどのタカ派発言をした。しかし、翌週には内田日銀副総裁が植田総裁の発言を(市場が誤解していると)否定した。このように来週にも植田総裁が前言撤回の可能性もありそうなことで、上値では撤回発言前に利益確定の売りを置いている市場参加者も出てきそうだ。

 なお、複数の国では24日から休場を迎えることで、応当日の関係もありどの通貨も本日のNYカットのオプションが集中している。特段のニュースがない場合でもNYカット(日本時間24時)前後はオプションに絡んだ取引で激しく動く可能性には留意したい。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは、日通し高値157.93円が最初の抑え、その上は7月12日のNY時間で観測された為替介入水準158.40円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値は、昨日のNY時間での下押し水準156.41円、その下は昨日の植田日銀総裁会見前の高値155.47円。


(松井)
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