週間為替展望(ドル/ユーロ)-12月米ISM製造業景気指数に注目

◆ドル円、12月ISM製造業景気、雇用、価格指数に注目
◆連邦債務上限巡る米議会の対応や米格下げの可能性などに警戒
◆ユーロドル、独11月小売売上高や12月雇用統計を見極め

予想レンジ
ドル円   156.00-160.00円
ユーロドル 1.0150-1.0550ドル

12月30日週の展望
 来週は日本が31日から1月3日まで休場となるほか、1月1日は世界中の取引が一旦休止。閑散取引が予想される中ドル円は、1月1日に適用停止期限切れとなる連邦債務上限を巡る共和党と民主党の対応や12月米ISM製造業景気指数などを見極めていくことになる。

 トランプ次期米大統領が、連邦債務上限の撤廃や停止期間のさらなる延長を要請したことで、「つなぎ予算」の成立が難航した。1月3日に開会する第119回米議会では、上院・下院で共和党が多数派を占めており、連邦債務上限の引き上げ、あるいは適用のさらなる延期は容易だと思われる。ただ、超党派の米シンクタンク「責任ある連邦予算委員会」は、第2次トランプ米政権では、2026~35年度の10年間で財政赤字が7兆5千億ドル拡大するとの試算を出しており、ムーディーズが米国の信用格付け引下げを警告している。2011年8月のような「米国債ショック」の再現には注意が必要だろう。

 1月3日に予定されている12月のISM製造業景気指数では、雇用や価格指数にも注目したい。11月の景気指数は48.4(10月:46.5)、雇用指数は48.1(10月:44.4)、価格指数は50.3(10月:54.8)だった。なお、日本国内は正月休暇のため材料はないが、1月14日に氷見野日銀副総裁が神奈川県金融経済懇談会で講演や記者会見を予定している。日銀の政策運営に関する考え方を市場に伝えるのではないかとの憶測が台頭している。

 FRBのタカ派的利下げと日銀のハト派的据え置きを受けて、ドル高・円安に拍車がかかりつつあるが、歯止めをかける要因として、トランプ次期米大統領による円安牽制発言や本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には引き続き警戒しておきたい。

 ユーロドルは、ドイツの11月小売売上高や12月雇用統計を見極めることになる。ドイツの10月の小売売上高は前月比-1.5%へ落ち込んでおり、10-12月GDPがゼロ成長となる可能性が高まりつつある。ドイツは2年連続してマイナス成長となる可能性も高く、トランプ関税により、2025年も景気減速への懸念が強まりそうだ。政治的な不透明感も続き、ユーロの上値を抑える要因となっている。

12月23週の回顧
 ドル円は、植田日銀総裁が講演で日銀金融政策決定会合後の円安を牽制しなかったほか、米10年債利回りが4.63%台まで上昇したことから、156.14円から158.08円まで上昇した。ユーロドルは、米長期金利の上昇などを受けて、週初に1.0446ドルから1.0384ドルまで下落したが、その後もクリスマス休暇のなか、レンジ内での取引が続いた。(了)

*FX WEEKLYは本日が年内最終配信となります。2025年年初の配信は1月10日となります。
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