ロンドン為替見通し=ポンド、本日も英長期債を眺めながらの取引に

 本日のロンドン為替市場でも、英長期債の動向を眺めながらポンド中心の取引となりそうだ。昨日も英債相場は売りが先行し、10年債利回りは2008年以来の4.90%超え、30年債利回りが1998年以来の5.4%台で上昇力を強めた。英長期債の投げ売りを嫌気し、ポンドドルも2023年11月以来の安値となる1.2239ドルまで下げ足を速めた。

 もっともパニック的な英債売りが一巡すると、長期債利回りの上げ幅を縮小とともにポンドドルも下値を切り上げてはいる。とはいえ、スターマー英政権が昨年示した財政拡大方針に変わりなく、英債需給の緩みへの懸念は燻ったまま。そこに加え、トランプ次期米大統領が実施しようとしている関税強化などの政策は世界的にインフレ圧力を強め、もともと軟調だった英債券が打撃を受けやすい状況だ。

 昨日は英財務省高官が議会で、債券市場は引き続き秩序ある形で機能していると言及。英債への需要はなお強いと相場の火消しに努めていた。本日も英政府関係者から市場を落ち着かせようとする発言が出てくるだろう。もし、その内容が薄く弱いものだと、英長期債売りからのポンド下落が再燃してしまうかもしれない。

 ユーロドルはポンドドルに追随する形だろう。ただし欧州市場で取引が活発なユーロポンドの動向にも左右されることも予想され、意外と難しい値動きとなるかもしれない。ユーロ圏の指標は11月フランスの鉱工業生産と消費支出と相場インパクトは強くない。下値バイアスは残りながらも、結局は12月米雇用統計待ちとされてしまうか。

 ところでドイツでは、2月23日に連邦議会の総選挙が行われる。そういったなか昨日、米実業家イーロン・マスク氏が、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のワイデル共同党首と対談を行った。その場で同党支持を表明したマスク氏の影響がどの程度なのか、今後の支持率調査が注目される。

想定レンジ上限
・ポンドドル、日足一目均衡表・転換線1.2408ドル
・ユーロドル、21日移動平均線1.0383ドル
・ユーロポンド、200日移動平均線0.8429ポンド

想定レンジ下限
・ポンドドル、昨日安値1.2239ドルを割り込むと2023年10月27日週安値1.2070ドルが徐々に意識される
・ユーロドル、2日安値1.0226ドル
・ユーロポンド、日足一目均衡表・基準線0.8315ポンド

(小針)
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