東京為替見通し=ドル円、上値は限定か、報道による日銀の利上げ地ならしも円買いに

 先週末のドル円は、良好な米雇用統計をきっかけに米長期金利が急伸すると全般ドル買いが優勢となり、一時158.87円と昨年7月12日以来約半年ぶりの高値を付けた。ただ、米国株相場の大幅下落を背景にリスク・オフの円買いが優勢になると、日通し安値となる157.23円まで売り込まれた。ユーロドルは雇用統計後に、1.0215ドルと2022年11月以来の安値を更新した。

 本日のアジア市場でドル円は、東京市場が成人の日で休場のため流動性の悪化が想定される。そのため振幅が激しくなるだろうが、上値は限られるか。

 先週の12月米雇用統計後は、ドル円の上値の重さを確認した形となった。雇用統計の結果を受けて、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ停止観測が燻り、米金利の上昇による株安がドル円の重しに。また、英国を中心に欧州圏も財政不安が懸念されていることで、欧州通貨も買いにくい状況だ。消去法的に、ドル以外の通貨では円が買われやすくなっている。

 本邦国内要因でも、日銀が利上げの地ならし記事を流しているとの憶測も円買いに傾きやすいだろう。一部通信社が先週、日銀関係者筋の話として「コメ価格上昇と円安を踏まえ物価見通しの引き上げを検討」「日銀がコアコアCPIの見通しを上方修正する公算」などと報じた。また、本日付の日経新聞電子版でも日銀が「長引くコメの価格高騰に神経をとがらせている」などと報じている。

 ただし、今週は日銀から2つの注目イベントがあるため、それを確かめるまでは一方向に動きにくいか。1つ目は、明日14日には氷見野良三日銀副総裁が横浜市で金融経済懇談会に出席し、同日午後に記者会見を行うこと。2つ目は、16日に日銀が12月の企業物価指数が発表し、注目の輸入物価指数も公表されることだ。これらで、今月末の金融政策決定会合の方向性を探ることになり、それまでは手控えムードになるかもしれない。

 ドル円以外では、市場を先導している欧州通貨が引き続き今週も大きな値動きとなりそうだ。もっとも、アジア時間ではトレンドを作るほどの値動きを期待するのは難しく、欧州入りを待つ展開になるだろう。

 なお、アジア時間では中国の貿易収支が発表される。指標結果や中国人民銀行の人民元取引・基準値などにも目を向けたい。今年の年初はCNH(人民元)の対ドルの動きが市場を先導していた。東京休場で円相場の動きが鈍る可能性は高く、本日は人民元の動向が再び注目されるかもしれない。


(松井)
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