ロンドン為替見通し=リスク回避の動き継続か見極め、英債やエネルギー価格動向にも注目

 週明けのロンドン為替市場では、先週末のニューヨーク市場で強まった米金利上昇を背景としたリスク回避の動きが継続するか見極めながらの取引。週明けアジアの株式市場も総じて弱く始まり、時間外のCME日経平均先物も先週末安値を割り込んで下げ幅を広げた。アジア朝に強含む場面もあったクロス円は再び水準を切り下げている。

 まずは、時間外の米10年債利回りがどのように始まるかがポイント。10日に発表された12月米雇用統計が想定以上に強かったことを受け、米・中長期金利は上昇力を強めた。そういったなか、今週半ばには同月消費者物価指数(CPI)が発表予定。市場が警戒しているのは、先週末に急速に広まった「米連邦準備理事会(FRB)の利下げ休止観測」を後押しする結果がでること。インフレ動向を確認するまでは米金利の上昇基調は継続され、ドルの欧州通貨に対する強含みに繋がりそうだ。

 米債券が売られると(利回りは上昇)、より影響を受けやすいのが英長期債。先週は、英政府の財政拡張方針を受けた需給の緩みが懸念され、英長期債売りが一気に進んだ。英債価格の下落が重しとなったポンドは、週明けも地合い弱いまま対円や対ドルで先週末安値を割り込んでいる。「労働党政権は財政をコントロールできず」との思惑が広がれば、ポンドの下値余地が更に広まってもおかしくはない。

 またエネルギー価格の動向にも注意しておきたい。10日の原油先物相場は急騰し、週明け時間外でも買い優勢。バイデン米政権は先週末、ロシアの石油業界に対して新たな制裁を発表した。制裁対象となる石油タンカーの数が倍に増える見通しとなり、供給混乱への警戒感が高まっている。エネルギー価格上昇から想定外のインフレ上昇は、欧州景気にとって好ましいものではないだろう。

想定レンジ上限
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.0326ドル
・ポンドドル、10日高値1.2322ドル

想定レンジ下限
・ユーロドル、2022年11月11日安値1.0163ドル
・ポンドドル、2023年10月26日安値1.2070ドル


(小針)
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