NY為替見通し=米12月の卸売物価指数と財政赤字に要注目か

 本日のNY為替市場のドル円は、ニューヨーク債券・株式市場の動向を注視しながら、米12月卸売物価指数(PPI)と財政赤字を見極める展開が予想される。

 12月米PPIの予想は前月比+0.3%で11月の同比+0.4%から低下、前年比は+3.4%で、11月の同比+3.0%からの上昇が見込まれている。食品とエネルギーを除くコア指数の予想は前月比+0.3%で11月の同比+0.2%からの上昇、前年比は+3.8%で11月の同比+3.4%からの上昇が見込まれている。
 明日発表される米12月の消費者物価指数(CPI)と合わせて、今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金融政策を見極めて行くことになる。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、今月末のFOMCでは据え置きが確実視されており、今年の利下げは1回(※FF金利誘導目標4.00-25%)と予想されている。
 
 本日は、シュミッド米カンザスシティー連銀総裁、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁の発言機会があることで、年内1回の利下げを見込んでいる市場予想への見解にも注目しておきたい。

 参考までに、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場が示す今月の日銀金融政策決定会合での追加利上げ確率は61%まで上昇しており、新発10年物国債の利回りも1.25%まで上昇していることで、ドル円の上値を抑える要因となっている。

 また、今年1月1日に米国の債務上限適用の停止期限を迎えたが、米財務省は、実際に上限に到達するのは1月14日から23日の間になるとの見通しを示している。
 米国政府が新たな借り入れができずにデフォルト(債務不履行)に陥ることを防ぐには、昨年12月のつなぎ予算案に、トランプ次期米大統領が盛り込もうとした上限の引き上げか効力停止が必要となる。
 しかし、共和党の保守強硬派の反対で上限引き上げや効力停止の案は退けられており、20日のトランプ次期米大統領の就任式の後で、債務上限問題が復活することになる。

 2025会計年度(24年10月-25年9月)累計の赤字(10月・11月)は6242.13億ドルとなり、コロナ禍の時期を上回り、同期間としては過去最高を記録した。
 本日発表される12月の財政赤字(予想は800億ドルの赤字)次第では、同期間としては過去最高を記録する可能性があることで、トランプ関税や減税による財政赤字の拡大懸念が高まることになる。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、158.87円(1/10高値)

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、156.24円(1/6安値)


(山下)
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