株式明日の戦略-買い先行も失速して5日続落、市場は日銀の1月利上げを意識

 15日の日経平均は5日続落。終値は29円安の38444円。14日の米国では、弱めの米12月生産者物価指数が米国のインフレに対する警戒を和らげ、ダウ平均とS&P500が上昇。これを好感して、200円超上昇して始まった。

 開始直後には上げ幅を300円超に拡大。しかし、ナスダック安を嫌気してアドバンテスト<6857.T>やレーザーテック<6920.T>など半導体株が弱く、失速してマイナス転換。いったん切り返して前場は3桁の上昇で終えたものの、後場に入ると売り直された。アドバンテストの下値模索が続いたことや、ドル円が円高に振れたことなどが警戒材料となった。円高に関しては植田日銀総裁の発言から早期の追加利上げが意識されたとの見方があった。ただ、3桁下落となったところでは下げ渋り、大引けにかけては値を戻した。プライムでは値上がり銘柄の方が多く、TOPIXはプラスで終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆8700億円。業種別では銀行、その他製品、水産・農林などが上昇した一方、医薬品、卸売、建設などが下落した。上方修正や増配を発表した古野電気<6814.T>が急騰。半面、ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884.T>は通期の利益見通し引き上げが好感されず、15.6%安と大きく値を崩した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり864/値下がり705。売買代金上位ではIHIや任天堂が大幅上昇。証券会社のリポートを手がかりに、ファナックやキーエンスなどFA関連に強い動きが見られた。日銀の早期利上げ期待から、三菱UFJや三井住友など銀行株が全般堅調。SHIFTが商いを伴って急騰したほか、ベイカレントがストップ高となるなど、決算が好感された銘柄に買いが殺到した。

 一方、アドバンテストやレーザーテックなど半導体株の一角が大幅安。レーザーテックは昨年来安値を更新した。フジクラや三菱重工が軟調。決算を材料にディップ、タマホーム、エスプールなどが急落した。着地が計画を下振れたマネーフォワードがストップ安。下方修正と減配を発表したロゴスHDや、公募・売り出しを発表したSpeeeは、場中に値が付かすストップ安比例配分となった。

 日経平均は5日続落。3桁上昇スタートからマイナス圏に沈んでおり、印象の悪い下げとなった。序盤では全面高となる場面もあったが、きのうに続いて半導体株が弱く、全体のセンチメントが悪化した。

 午後に円高が進んだことも日本株には逆風となった。市場ではきのうの氷見野日銀副総裁の講演やきょうの植田日銀総裁の発言を受けて、1月会合で利上げがあるかもしれないとの見方が強まりつつある。1月の日銀会合は23日~24日で、米国の大統領就任式(20日)の直後かつ、FOMC(28日~29日)より前に開催される。このタイミングで利上げを実施すると市場が混乱しそうだが、可能性はゼロではないどころか結構ある。そうなると日銀会合を通過するまでは、金融株以外には手を出しづらくなる。

 本日の米国では12月の消費者物価指数(CPI)や金融株の決算が注目される。前日の生産者物価指数(PPI)はインフレに対する過度な警戒を和らげる材料となったが、CPIはどうか。ただ、CPIが弱めであったとしても、今のFRBは雇用のデータを重視しているだけに、1月に利下げを行うとの期待はそれほど高まらないかもしれない。日銀が利上げをしそう、FRBは利下げを見送りそうとなると、余計に日本株は買いづらくなる。日経平均に関しては、ここからもう一段下げるかどうかはともかく、来週までは不安定な値動きが続くとみておいた方が良い。
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。