週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、12月CPIに注目

◆対円では日銀会合への思惑で不安定
◆ポンド、債券市場を警戒しつつ英賃金動向を見極め
◆加ドル、米新政権の誕生や12月CPIに注目

予想レンジ
ポンド円 188.00-194.00円
加ドル円 106.50-110.50円

1月20日週の展望
 来週のポンドや加ドルの対円動向で重要視すべきは、やはり日銀金融政策決定会合だろう。今週は日銀の氷見野副総裁と植田総裁が、相次いで利上げを示唆する発言をした。一部メディアも複数の関係者の話として「利上げ決定の公算大」と報じ、円高が加速する場面もあった。日銀会合の結果発表は24日であり、それまでは様々な思惑で円相場は不安定になりそうだ。もっとも英国やカナダの材料もあるため、週半ばまではそれらも見定める必要がある。

 英国では21日に雇用データが発表され、その中でも9-11月の週平均賃金を見極めたい。前回8-10月のボーナスを除く分は前年比5.2%と再び上向き始めた。結果次第では、15日の12月消費者物価指数(CPI)を受けて再び浮上した英金利先安観が後退してしまうかもしれない。12月CPIは総じて市場予想を下回り、英中銀が注視するサービス価格インフレ率も前年比4.4%と前回から0.6ポイントも減速した。中銀による今年の0.25%利下げは1回までと予想を縮小してきた市場だったが、インフレ結果を受けて引き下げ回数を2回まで織り込んできた。

 英債券市場の動きも依然として注意深く見ていく必要がある。英政府の財政拡大方針を危惧した長期債売りが今週も先行。英10年債利回りは2008年以来の高水準を再び記録した。借入コスト増により、リーブス財務相の財政計画が破綻するとの懸念も一時高まった。米債の買戻しも支えに週後半は英債も回復しつつあるが、暫くは需給の緩みへの警戒感は燻ったままだろう。

 カナダからは21日に12月CPIが発表予定。前回11月分は前月比で横ばい、前年比では1.9%と共に市場予想を下回った。インフレ減速は経済軟化によるとされ、物価圧力の低下継続が見込まれていたが、12月の雇用統計を経て風向きが変わりつつあるもよう。新規雇用者数は予想や前回値を大きく上回り、失業率も改善した。カナダの金利先安観は若干後退しており、市場では今年前半4回の中銀会合での2回目の0.25%利下げの可能性が低下している。

 カナダにとって目先で警戒すべきは、やはり、米国で新政権が始動することだろう。20日就任するトランプ米大統領がこれまで訴えていた関税強化をどのような形で実行するかに注目が集まる。特に、カナダ産石油の輸出先はほぼ全量が米国向けであるため、原油が枠組みの中に入るかがポイント。一方、カナダ政府は、報復関税の対象とする1500億加ドル相当の米国製品のリストを作成したもよう。米加関係が悪化した場合、経済規模から加ドル安要因となりそうだ。

1月13日週の回顧
 ポンドは英長期債への警戒感から売りが先行し、対円では190円手前、対ドルで1.21ドルまで下落した。一巡後は反動から対円で193円台、対ドルでも1.23ドル台まで回復。ただ日銀の早期利上げ観測から対円では189円後半まで売り込まれ、対ドルも1.21ドル台後半まで緩んだ。

 加ドルは対円で110円前半を戻り高値に107円後半まで弱含み。日銀会合への思惑で円高に振れやすかった。対ドルでは1.44加ドル半ばから1.43加ドル付近まで加ドル高に傾いた。(了)
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