週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、インフレ鈍化で利下げ観測高まる

◆豪ドル、インフレ鈍化で利下げ観測高まる
◆豪ドル、米国との金利先安観の違いが重しに
◆ZAR、SARBは米関税政策によるインフレリスクを警戒

予想レンジ
豪ドル円 93.50-98.50円
南ア・ランド円 8.15-8.60円

2月3日週の展望
 豪ドルは上値の重い動きとなりそうだ。今週発表された10-12月期消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%と前期の2.8%から鈍化。価格変動の大きい品目を除いたトリム平均も同様に前期の前年比3.6%から3.2%へと低下し、豪州のインフレ鈍化傾向が改めて確認された。

 この結果を受けて豪州の主要銀行が利下げ予想時期を5月から2月へと前倒ししたほか、金利先物市場では豪準備銀行(RBA)の次回理事会(2月17-18日)における利下げを90%以上織り込んだ。また、年内で合計3-4回の利下げも織り込み始めており、豪金利の先安観が高まってきている。

 一方、今週開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では4会合ぶりに政策金利が据え置かれたほか、声明文でもインフレ再燃への警戒感が示されており、米国の金利先安観は後退しつつある。目先は豪米の金利先安観の違いが意識されることで豪ドルの上値は重くなるだろう。

 もっとも、トランプ米大統領の言動には引き続き注意が必要だ。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はFOMC後の会見で「大統領の発言について一切コメントするつもりはない」としたが、利下げを求める米大統領からの圧力が強まれば市場にも動揺が走り、米金利やドル相場などが振らされる可能性もありそうだ。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は神経質な展開が予想される。南アフリカ準備銀行(中央銀行、SARB)は金融政策決定委員会(MPC)で市場予想通りに政策金利を7.75%から7.50%へと引き下げたものの、6人のメンバーのうち2人は金利据え置きを主張していたことが明らかになった。また、インフレ見通しに関しては「今年上半期を通じて目標レンジの下限に留まる可能性が高い」としながらも、MPCでは今後の世界的な貿易戦争の検討に時間を費やし、世界的なインフレ上昇とZAR安が進むことで、国内インフレの上昇と政策金利がベースラインの予測と比較して上昇するシナリオについても言及した。なお、このリスクシナリオではZARが対ドルで現在の18ZAR台から21ZAR付近までドル高・ZAR安が進むとしており、今後の米政権の関税政策次第でZARの下値余地が大きく拡大する可能性には警戒しておきたい。

1月27日週の回顧
 豪ドルは軟調に推移。米ハイテク株の下落などで週初からリスク回避目的の売りが強まったほか、豪CPIの公表後にはRBAの利下げ観測を手掛かりにした売りも出た。豪ドル米ドルは一時0.62米ドル割れ、豪ドル円は95円台までそれぞれ上値を切り下げた。

 ZARも週初はリスク回避の動きから対ドル・対円でともに売りが先行。もっとも、一巡後は下げ渋る動きとなった。南ア国民統一政府(GNU)内の対立に関して過度な懸念が後退したこともZARの買い戻しを誘ったようだ。(了)
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