株式明日の戦略-円高を嫌って終日軟調、決算発表も終盤に入る来週は上値が重いか

 7日の日経平均は4日ぶり反落。終値は279円安の38787円。米国株はまちまちも、ダウ平均の下落や円高進行を嫌気して3桁下落スタート。東京エレクトロン<8035.T>が決算で大きく売られたこともあり、序盤では下げ幅を300円超に広げた。9時台半ばにドル円が円安に振れると、いったん鋭角的に値を戻した。ただ、下げ幅を2桁に縮めて39000円を上回ると売り直された。後場は200円程度安い水準でのもみ合いが長く続いたが、引けにかけてまとまった売りに押され、安値圏で取引を終えた。グロース250指数は序盤は下げる場面もあったが、早々にプラス転換した後は堅調に推移した。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆5700億円。業種別では鉄鋼、石油・石炭、海運などが上昇した一方、ガラス・土石、精密機器、不動産などが下落した。株主還元方針を変更し、期末配当見通しを大幅に引き上げたSUBARU<7270.T>が後場急騰。半面、通期見通しを下方修正したニコン<7731.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり751/値下がり827。前日決算を材料に跳ねたルネサスが連日で大幅上昇。メディア報道から鴻海による買収期待が高まった日産自動車が7%超上昇した。1Qが大幅増益となったF&LCが急騰。上期が大幅増益となったメルカリがストップ高まで買い進まれた。新興銘柄ではリベラウェアやブルーイノベーションがストップ高となるなど、ドローン関連が人気化した。

 一方、3Q大幅増益を受けても東京エレクトロンが4%台の下落。1銘柄で日経平均を約106円押し下げた。IHIは通期見通しを上方修正したが、修正幅が物足りないとの見方から8%を超える下落。売買代金は全市場でトップとなった。AGCや日本板硝子などガラス関連が決算を受けて大幅安。下方修正を発表したTOWAが急落した。

 本日、ホワイトハウスでトランプ大統領と石破首相による首脳会談が予定されている。日本と米国の関係は良好だが、トランプ氏はマウントを取って相手国から米国に有利な条件を引き出すことに長けており、日本も安心はできない。円満ムードを打ち出すことができれば、政権与党の支持率アップにもつながる。グローバルな観点でも、トランプ氏との関係が良好なら下振れリスクが相対的に小さいとの見方から、日本株の相対優位性が高まる展開が期待される。

 一方で、良好な関係を築けていないとの印象を与えてしまった場合には、その逆となる。最初の会合ではそれほど踏み込んだ話にはならないだろうが、終わった後にトランプ氏がSNSなどで日本に対する愚痴的な事を発信するようだと、先々ではハードな要求が出てくることへの警戒が高まる。自民党内では「石破政権で今夏の参院選を戦うのは難しい」との見方が出てくる可能性がある。「トランプリスク」を小さくし、自身の求心力も高めることができるか、石破首相の手腕が問われる。


【来週の見通し】
 上値が重いか。火曜11日が休場で立ち合いは4日。国内は引き続き決算発表が多く、ソフトバンクGやソニーGなどは中でも注目される。ただ、決算発表が金曜14日でほぼ一巡することから、週後半辺りからは先の市場エネルギー低下が意識されるだろう。米国では1月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が発表される。足元ではドル円が円高(ドル安)に振れることが多くなっており、これらの結果が米長期金利の低下を促した場合、円高に勢いがつく可能性がある。基本的には個別重視で方向感が定まらないとみるものの、為替に神経質となりやすい分、利益確定やリスク回避の売りが出やすい週になると予想する。
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