東京為替見通し=高田審議委員の発言に注目、RBNZは50bpの利下げ予想

 昨日の海外市場でドル円は、日銀の早期追加利上げ観測を背景に円買い・ドル売りが入ると、一時151.53円付近まで値を下げた。ただ、予想を上回る2月米NY連銀製造業景気指数や米長期金利の上昇が相場の支援材料となり152円台まで持ち直した。ユーロドルは米露会談でウクライナ停戦に向けた前向きな結果が出なかったと受け止められ、1.0435ドルまで弱含んだ。
 
 本日の東京時間でドル円では、宮城県で行われる金融経済懇談会に出席する高田日銀審議委員の発言内容に動意づけられるか。高田審議委員はタカ派スタンスが目立ち、昨年の政策金利引き上げ後も「緩和的な金融環境はなお継続している」「経済物価の見通し実現なら緩和度合い調整が基本姿勢」と更なる利上げを促す発言をしていた。

 17日に発表された本邦の10-12月期実質国内総生産(GDP)が日銀の展望レポートよりも上回る結果になっていることもあり、6日に講演をした田村審議委員に続いて高田審議委員の発言が連続してタカ派となった場合には、円買いになるだろう。

 高田審議委員は、これまでの講演で為替の「水準」については話すべきではないとの前提だったが、過去には為替市場の影響を注視する発言もしている。今月に入り円安はやや修正されているものの、先週発表された12月輸入物価指数が円安の影響もあり2.3%増まで上昇していることで、円安及び為替市場についても言及する可能性があるので警戒したい。

 なお、審議委員のあいさつ文は通常日銀のホームページに詳細が掲載され、本日は10時半の予定。もっともその後に質疑応答も行われ、あいさつ文が掲載されるタイミング以外でも発言が伝わることにも注視する必要がある。
 
 ところで、早朝にトランプ米大統領が、記者会見時に自動車関税が25%前後となる可能性を示唆した。今後、SNSのTruthSocialなどで更なる関税について発表されることもあるため、こちらも要警戒となる。
 
 円以外では、昨日に続きオセアニア通貨に注目が集まる。昨日は豪準備銀行(RBA)が25ベーシスポイント(bp)利下げし政策金利を4.10%まで引き下げた。声明文はサプライズが少なく、豪ドルの値動きは限られたものだった。ただ、本日は豪州から10-12月期の賃金指数が発表され、賃金の上昇率の結果次第では豪ドルが動意づくだろう。

 また、本日はニュージーランド準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)が政策金利を発表することで、NZドルの動きも注目。NZは高失業率と低成長(GDPは7-9月期1.0%減)などが経済の重しとなっており、3会合連続で50bpの利下げ予想が優勢。豪州の賃金指数が日本時間9時半、RBNZの政策金利が10時と短時間で重要指標が発表されるため、豪ドル/NZドルの値動きが激しくなるか。

 また、引き続き欧州通貨の値動きにも目を向けておきたい。昨日は米露間の高官協議が行われたが、ロシアはドネツク、ルハンシク、ヘルソン、ザポリージャの各州全体の管理権を譲渡することを望んでいると述べたようだ。しかしながら、希少な鉱物資源のある地域の獲得をウクライナが認めることは考えられず、停戦協議が進む可能性は少ない。欧州各国も米露主導の和平協議には深い懸念を示しており、欧州各国の反応でユーロは引き続き神経質な動きを見せそうだ。

(松井)
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