株式明日の戦略-米国株高を好感できず終日軟調、国内金利上昇の負の側面を意識

 19日の日経平均は3日ぶり反落。終値は105円安の39164円。米国株高を受けても小幅安スタート。下げ幅を3桁に広げた後にいったん切り返したが、プラス圏に浮上したところではすぐに売り直された。10時台に入ると下げ幅を200円超に広げ、10時半近辺では節目の39000円を割り込んだ。10時半の高田日銀審議委員の金融経済懇談会における挨拶がリスクイベントとして意識されたもよう。39000円割れは一瞬であったが、ドル円の値動きが荒くなったこともあって、以降はマイナス圏が定着した。引けにかけてはやや戻したものの、3桁の下落で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆5800億円。業種別ではパルプ・紙、金属製品、その他製品などが上昇した一方、精密機器、医薬品、卸売などが下落した。英投資会社の大株主浮上が判明した資生堂<4911.T>が後場急騰。半面、このところ商いが膨らんで振れ幅も大きくなっているサンリオ<8136.T>が4%近い下落となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり596/値下がり994。証券会社の目標株価引き上げを受けて、東京エレクトロンやSCREENなど半導体株が大幅上昇。直近で決算を受けて売られていた楽天Gが7.4%高と強い切り返しを見せた。日経新聞1面で下水道の老朽化が取り上げられたことを手がかりに、NJS、日本ヒューム、日本鋳鉄管などが関連銘柄として人気化。上場5周年記念優待を発表したリビングプラットフォームが一時ストップ高となったほか、増配と1:2の分割を発表した綜研化学、上方修正と増配を発表した扶桑化学など、株主還元強化策を出してきた銘柄に買いが入った。

 一方、指数寄与度の大きいファーストリテイリングやソフトバンクGが軟調。トランプ大統領の自動車関税に対する発言や円高進行を嫌気して、ホンダやマツダなど自動車株が軒並み安となった。日銀の早期追加利上げへの警戒が高まる中、三井不動産や東急不動産など不動産株の多くが下落。証券会社が投資判断を引き下げたBASEが大幅安となった。

 日経平均は3日ぶり反落。一時39000円を割り込むなど、さえない1日となった。最近は日米の長期金利に翻弄されることが多く、金利上昇が意識されて場中に弱い動きが出てくると買い手は尻込みする。次回の日銀会合は3月18日~19日。日銀が市場に何かを織り込ませるにしてもメッセージを届けるのはもう少し後になると思われるが、足元で日本の長期金利が上昇しているだけに、要人発言には神経質になってしまう。長期金利が上昇しても金融株に資金が向かうのであればリスク回避姿勢は強まらないが、きょうは買いが先行した三菱UFJ<8306.T>が下落で終えた。日本の長期金利上昇は円高も呼び込みやすいだけに、いったんは上昇ペースが鈍化してほしい局面だ。
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