ロンドン為替見通し=PMIが市場を動意づけるか、政治動向も引き続き要注目

 本日の欧州時間では、欧州各国から製造業とサービス業の購買担当者景気指数(PMI)が発表される。ここ最近、欧州の経済指標に市場の反応は限られていたが、今回のPMIの結果でこの流れが変わるか注目したい。

 PMIは概ね横ばいか、小幅改善との予想が優勢。各国とユーロ圏から複数業種のPMIが発表され、この中では欧州最大の経済規模を誇るドイツのPMI、中でも製造業の結果が最も注視されそうだ。ドイツ製造業PMIは2022年6月に「景況の強弱を判断する節目50」50を割り込んでから、同水準を回復していない。2月は約1年ぶりに45.5まで持ち直す見込みであり、50まで距離があるものの、改善傾向が示せればユーロが買われる場面もあるだろう。

 欧州高官の講演はセンテノ・ポルトガル中銀総やレーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミストが予定されている。もっともここ最近は、欧州要人の発言に対して市場の反応は鈍い。そのため、PMIで動意付かなかった場合は米国待ちの相場展開となりそうだ。

 欧州の政治動向には引き続き要注目。本日から明日21日まで南アで20カ国・地域(G20)外相会議が開催される。しかしながらルビオ米国務長官は「納税者のお金を無駄にしたり、反米主義を甘やかしたりすることはない」と、南アの土地収用問題も絡めて不参加を表明。ただ、欧州外相が一堂に集まることもあり、ロシアとウクライナについての協議が水面下で行われる可能性もある。

 なお、23日にはドイツで議会選挙が実施される。先週12日の世論調査では、主要野党であるキリスト教民主同盟(CDU)とそのバイエルン州の姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)が、有権者の29%の支持を得てトップに立っていた。右派の「ドイツのための選択肢(AfD)」が21%でCDU・CSUに続いている。現首相ショルツ氏の社会民主党(SPD)は16%で3位、続いて同盟90/緑の党(通称グリーン党)が12%だった。

 ポンドは、英国の1月小売売上高と2月PMIに注目。今週発表された1月英雇用統計では、賃金の伸び率が8カ月ぶりの高さ、消費者物価指数(CPI)も10カ月ぶりの高水準を記録した。依然としてベイリー英中銀(BOE)総裁をはじめ、BOE関係者はハト派な発言が目立っているが、経済指標が好結果となった場合にはポンドは支えられそうだ。
 

・想定レンジ上限
 ユーロドル:1月27日につけた年初来高値1.0533ドル。その上は昨年11月20日以来超えていない節目の1.0600ドル。
 ポンドドル:200日移動平均線1.2778ドル。

・想定レンジ下限
 ユーロドル:19日安値1.0401ドル。
 ポンドドル:日足一目均衡表・雲の上限1.2555ドル。


(松井)
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