NY為替見通し=米2年債入札と米仏首脳会談が市場の注目点に

 本日のNY時間のドル円は、米財務省による2年債の入札や政治状況により市場が動意づく可能性がありそうだ。なお、米国からは主だった経済指標の発表は予定されていない。

 米2年債の入札は日本時間25日2時の予定。ここ最近のドル円は流動性悪化の影響で米債利回りに素直に追随する傾向が見られる。本日の入札結果で米債市場の売買が活発化するようであれば、ドル円も値幅を伴った動きが想定される。

 ただし市場が今週注目するのは、株式市場が26日引け後のエヌビディアの決算発表、為替市場は28日の1月米個人消費支出(PCE)価格指数だろう。そうなると債券の入札結果だけでは、ドル円も大きなトレンドは作ることはできないかもしれない。

 政治関連では、週末に行われたドイツ総選挙で、ヴァンス米副大統領が支持していた極右「ドイツのための選択肢(AfD)」を抑え、中道右派の野党「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」が第1党となった。こちらは、他の欧州国にとっても安堵する結果だった。

 独選挙が終わった後の注目は、ワシントンDCで実施される米仏首脳会談。円絡みの通貨ペアが影響を受けるシナリオとしては、会談で両国の溝が埋まりそうにない場合だろう。欧州主要国と米国の関係改善が期待できないとなれば、欧州圏のリスク要素拡大と捉えられ、クロス円を中心に円買いが進む可能性はある。

 今回の米仏会談では主要議題は、通商問題よりもウクライナ情勢との報道が一般的。マクロン仏大統領は、先週米国が欧州を除外して米露高官協議を決定すると、真っ先に地域間の協調を求め欧州首脳会談を開くなど、トランプ大統領のウクライナを巡る行動に強い警戒感を示している。仏大統領は、プーチン大統領を勝利させることは「大きな戦略的誤り」と主張すると訪問前のコメントで述べていた。

 本日でロシアのウクライナ侵攻3周年を迎える。ウクライナとトランプ大統領の間に亀裂が生じる中、マクロン大統領がトランプ大統領の欧州を無視した行動の軌道を修正できるかが注目される。なお、27日にはスターマー英首相も訪米する予定。

 ところでトゥスク・ポーランド首相は先週、欧州で凍結されているロシア資産をウクライナ支援に充てることや、ロシアとEUの国境沿いの防空を強化することなどをXで訴えた。同首相は、他の欧州国に対ロシアで断固とした行動をとることを求めている。
  
・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは、先週末に下落のきっかけとなった2月の米PMI速報値発表直前の水準150.35円近辺。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値は、昨年10月9日安値148.01円。


(松井)
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