NY為替見通し=最大の注目は米PCEデフレーター、トランプ関税の間接的影響にも注視

 本日のNY時間は、今週最も注目される経済指標・1月米個人消費支出(PCE)デフレーターが発表される。ドル円はすでにアジア時間から欧州前半にかけて1円50銭超のレンジを作っており、指標の結果次第でドル買い・ドル売りともに値幅を伴う動きになりそうだ。

 PCEデフレーターの1月分は前年比+2.5%と予想されており、12月同比+2.6%からの伸び率鈍化、コアPCEの前年比予想は+2.6%とこちらも12月+2.8%から伸び率鈍化が見込まれている。

 PCEと消費者物価指数(CPI)は同じ個人消費の重要なインフレ指標。ただCPIは、購入した商品やサービスに対する自己負担支出のみをカバーする一方で、雇用主が提供する保険、メディケアなどは除外される。12日に発表された1月CPIはヘッドラインもコア指数も予想や前回値を上回った。しかしながら、13日発表の卸売物価指数(PPI)ではこれら(保険やメディケアなど)の結果が抑制的だったことで、PCEデフレーターの鈍化が予想されている。

 本日、市場予想通りに1月PCEデフレーターが鈍化した場合は、早ければ5月の利下げ期待が高まるかもしれない。なお、CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、次回3月の米連邦公開市場委員(FOMC)は9割を超えて据え置き予想となっているが、5月は据え置き予想が徐々に減少し7割を割り込んでいる。

 PCE以外では、引き続きトランプ政権の関税に関する報道には要警戒。トランプ大統領はメキシコとカナダへの関税賦課は4月まで延期されると述べていたが、昨日には3月4日に戻すなど朝令暮改の状態だ。これまでは強気に脅せばディールを勝ち取れるとみていたトランプ氏だが、相手国がディールに乗らなくなってきている。あまりにも無理難題を要求していることで、英国やEUはインドとFTAの交渉を進めるなど、これまでの友好国も米国依存の軌道修正をとっている状況だ。

 また、関税の悪影響で米株も弱含むなど、徐々にトランプ政権の思惑通りに事が進まなくなっている。今後の課税強化が日程通りに行われるのか延期されるのか、市場も確信を持てず、その都度の発言で相場が反応しそうだ。

 一部ではディールが進まないため、メキシコとカナダに対しては、移民やフェンタニルに関して進展があったとの言い訳で再延期を発表するとのうわさもある。為替市場では、直接影響を受けるのは対象国の通貨だろう。ただ株式市場の動向次第ではリスク選好・回避に傾き、ドル円相場にも影響が及ぶことには注意を払いたい。
 
・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは、20日高値151.48円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値めどは、25日につけた年初来安値148.57円。


(松井)
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