東京為替見通し=ドル円、日本株大幅反発でも上値は限られるか

 先週末のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。ショートポジションの調整が進み、一時150.99円まで上昇した。ユーロドルは3日続落。買いが先行し1.0420ドルの高値をつけたが、米ウクライナ首脳会談が決裂し共同会見も取りやめになったと伝わるとユーロ売りが優勢となり1.0360ドルまで安値を更新した。ユーロ円はドル円の上昇につられ一時157.16円まで高値を更新し、4営業日ぶりの反発で取引を終えたが、米ウ首脳会談の決裂を重しに伸び悩んだ。

 本日の東京市場で予定されているのは中国の2月Caixin製造業購買担当者景気指数(PMI)程度で注目の手がかりは乏しく、ドル円は日本株や時間外の米長期金利の動向を眺めながら動きとなるか。週明けの日本株は先週末の大幅安の反動や米株の反発を手がかりに堅調な動きが見込めるも、関税と地政学リスクへの警戒感で投資家のリスク選好姿勢が大きく高まる可能性は低く、ドル円の上値は限られそうだ。

 トランプ関税によるインフレ高懸念は根強いものの、関税の米経済への悪影響がクローズアップされており、関税懸念がドル高よりもリスク回避の円買いに傾く可能性がある。また、2月28日のトランプ米大統領とゼレンスキー・ウクライナ大統領の会談は激しい口論になり、ウクライナの資源権益に関する協定の署名も見送られた。今回の対立により、ウクライナはロシアの侵攻に対する3年間の戦いで最も重要な同盟国であり武器供給国だった米国との不和に直面しており、地政学リスクの高まりが警戒される。目先はドル高・円高に振れやすく、ドル円は方向感が出にくい。

 なお、日銀の早期利上げ観測の高まりを背景とした円買いは一巡しているが、ドル円の上値では引き続き圧迫要因として意識されそうだ。

 本日の海外市場では2月米ISM製造業景況指数の結果が注目されるも、市場の関心度が高いのはやはりトランプ関税であり、トランプ米大統領の突発的な発言が相場の攪乱要因になる。トランプ米大統領は4日からカナダとメキシコへの25%関税と中国への10%追加関税を発動すると述べたが、もう同氏の「朝令暮改」は日常茶飯事となっており、その日になってみないと分からない。仮に4日に発動されたとしてもいつ撤回してもおかしくない。世の中の関心を集めているトランプ関税に対し、市場は徐々に免疫力を強めそうだ。

(金)
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