株式明日の戦略-続伸も後場は失速 外需と内需で明暗分かれる

 24日の日経平均は続伸。終値は170円高の35039円。米国株の大幅高と円安進行を好感して、300円超上昇して始まった。前場では一段の上値追いには慎重姿勢が見られた一方、大きな失速もなく、35100円~35200円台で動意薄の展開が続いた。

 後場に入ると失速感が強くなった。外需が強く内需が弱いという構図であったが、弱い方の売られ度合いが大きく、プライムでは値下がりに転じる銘柄が増加。終盤には上げ幅を2桁に縮める場面もあった。ただ、35000円より下で推移する時間は短く、終値でも35000円は上回った。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆1400億円。業種別ではその他製品、非鉄金属、保険などが上昇した一方、陸運、食料品、不動産などが下落した。株主優待の内容を変更し、新たに新米などを贈呈品としたビューティカダンホールディングス<3041.T>が後場に買いを集めてストップ高。半面、今期の減収減益・減配計画を提示したトーメンデバイス<2737.T>が後場に大きく値を崩した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり605/値下がり985。「スイッチ2」の抽選販売に会社の想定を上回る応募があった任天堂が5.6%高。東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体株に強い買いが入った。米ボーイングが決算で大きく上昇したことを手がかりに、大阪チタニウム、東邦チタニウム、東レが大幅上昇。前期の利益見通しを引き上げたレノバが急伸した。今期の見通しを非開示としたファナックは、上値は重かったものの、自己株取得など株主還元強化策が好感されて上昇した。

 半面、円安進行で潮目の変化が意識されたか、神戸物産、パルGHD、良品計画など、4月に入ってからの円高局面で買われていた小売株の多くが大幅安。東京メトロやJR東日本など鉄道株も大きく下げる銘柄が多かった。NTT、KDDI、SBなど通信株が軟調。今期の大幅営業減益計画が失望を誘ったKOAが急落した。

 本日、グロース市場に新規上場したLIFE CREATEは、初値は公開価格を小幅に上回った。終値は初値を下回り、公開価格と同値となった。

 日経平均は3桁の上昇。ただ、プライムでは値下がり銘柄の方が多かった。前場では値上がり銘柄の方が多かっただけに、後場にセンチメントが悪化している。外需買い、内需売りの地合いであったが、東京時間ではどちらかというとドル円は円高に振れていた。その割には内需株の多くが叩き売られており、次第に外需の強さよりも内需の弱さがクローズアップされた。為替が動けば物色に変化が出るのは当然としても、外需を買えるかどうか半信半疑の状況で、それまで動きが良かった内需が大きく崩れてしまうと、デイトレーダー以外の投資家は株式に資金を振り向けづらくなる。

 ベッセント米財務長官と加藤財務相が米国時間24日に会談を行う予定で、そこでの議論の内容があすの日本株市場にも大きな影響を及ぼす可能性がある。きょうの動きを見ると内需から外需へのシフトが進みそうではあるが、それにはもう一段の円安が必要となるだろう。外需が買われても、きょうのように内需が嫌われてしまうと、指数は上がりづらくなる。ようやく35000円台を回復した程度であるだけに、今は内需か外需かではなく、どちらも大崩れすることなく水準を切り上げてほしい局面だ。

(山下)
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