株式明日の戦略-弱材料に耐性を示して小幅安 ここからは注目企業の決算発表が相次ぐ

 22日の日経平均は続落。終値は59円安の34220円。休場明け21日の米国ではトランプ大統領のFRB批判が警戒材料となり、ダウ平均が900ドルを超える下落となった。これを受けて寄り付きは3桁の下落。ただ、すぐに切り返してプラス転換するなど、下押し圧力は限られた。

 場中は下げては戻すといった動きを繰り返した。プラス圏で推移する時間は短かったものの、下げ幅を3桁に広げると持ち直した。後場は前引けから水準を切り下げて始まり、プラス圏には浮上できなかった。しかし、終盤に円高が進んでドル円が140円を割り込む場面があった中でも大崩れは回避。2桁の下落で取引を終えた。プライムでは値上がり銘柄が多く、TOPIXは上昇した。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆2800億円。業種別ではパルプ・紙、卸売、電気・ガスなどが上昇した一方、電気機器、銀行、精密機器などが下落した。前期の期末配当見通し引き上げや1:3の株式分割を発表した名古屋銀行<8522.T>が大幅上昇。半面、今期の見通しが市場の期待に届かなかったオービックビジネスコンサルタント<4733.T>が大幅に下落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1113/値下がり483と、日経平均は下落したが値上がり銘柄が圧倒的に多かった。サンリオが商いを伴って6.7%高。三菱商事、伊藤忠、住友商事など商社株の動きが良かった。三菱ふそうとの経営統合観測が報じられた日野自動車が急伸。前日リリースを材料に強く買われた木徳神糧が一段と騰勢を強めており、ストップ高をつける場面もあった。

 半面、レーザーテックや東京エレクロトンなど半導体株が全般軟調。主力どころではフジクラや三菱重工が強めに売られた。三菱UFJ、三井住友、みずほのメガバンク3行がそろって下落。下方修正を発表したアストロスケールが急落した。ゼンムテックやトヨコーなど、足元で騰勢を強めていた直近上場株の一角が大きく値を崩した。

 本日、グロース市場に新規上場したデジタルグリッドは高い初値をつけた後も買いが続き、終値は初値を大きく上回った。

 日経平均は続落。ただ、米国株が大幅安となった上に一段と円高も進む中で、かなり底堅い動きを見せた。ドル円が140円を割り込んだ際にも、それをネガティブ視するような反応はあまりなかった。きのうドル円に神経質となったことを踏まえれば、きょうは異様に強い。

 ここから先は国内で注目度の高い企業の決算が連日で出てくる。あすは引け後にファナックが発表を予定している。今回は「トランプ関税」リスクが読みづらく、今期の見通しが出せない企業が多くなることへの警戒が強い。ただ、そのような局面だけに、企業のIR姿勢が大きく注目される。投資家の不安を払しょくすることに成功した企業の株価は、市場から高い評価を受ける公算が大きい。そのような企業が多く出てくることを期待したい。

 なお、本日の米国の引け後にはテスラが決算発表を予定している。第2期トランプ政権で重用されたイーロン・マスク氏はその言動がアメリカだけでなく世界をかき乱しており、テスラ車の不買運動なども発生している。現状で業績期待は高くないと思われるが、時間外の反応がかなり弱かった場合には、あすの日本株市場にネガティブな影響が出てくる可能性がある点には注意を要する。


(山下)
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