東京為替見通し=ドル円、トランプ米大統領の円安言及も重しか

 昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反落。2月米ISM製造業景況指数が予想を下振れし、ドル売りが強まったことやトランプ米大統領が円安に言及したことも材料視され、149.10円まで下落した。ユーロドルは4日ぶり反発。ウクライナ情勢を巡る懸念が和らいだことを背景としたユーロ買いと米長期金利の低下に伴ったドル売りで1.0503ドルまで上昇した。また、ユーロ円は一時158.47円まで買われたが、米株の大幅安で伸び悩んだ。

 本日の東京タイムでは、1月失業率・有効求人倍率や10-12月期法人企業統計調査・ソフトウェア含む全産業設備投資額などの発表が予定されているが、ドル円の動意につながる可能性は低い。ドル円は昨日の大幅安の反動で調整の買い戻しが入る可能性はあるものの、円安に言及したトランプ米大統領の発言も重しに戻りの鈍い動きが想定される。昨日、トランプ大統領は「円や中国元は通貨として弱い」「通貨安の国に関税を課す 」などと述べた。昨日は三村淳財務官も円安の経済へのマイナス影響に言及し、為替動向を注視する必要があると発言した。米株の大幅安と米長期金利の低下もドル円の重しとなる。

 依然として市場のメインテーマはトランプ関税であるが、関税による米インフレ高への懸念は根強いものの最近の米長期金利は低下気味と、インフレ高による景気鈍化への警戒感が根強いことが反映されている。トランプ関税はドル高よりもリスク回避の円買いに傾く可能性がある。トランプ米大統領は4日から予定通りにカナダとメキシコに関税を課すと述べた。

 また、ウクライナ停戦交渉関連のヘッドラインにも注目。先週末に米ウクライナ首脳会談が決裂し、米国がウクライナへの軍事支援停止を検討しているとの報道も出るなか、スターマー英首相主導で欧州各国の首脳が緊急の会議を開いた。欧州独自の停戦案を作成し米国に提示するとしているが、ウクライナの平和よりも自分たちの利益に目線が置かれており、停戦案は順調に進まず市場のセンチメント悪化につながる可能性もある。また、ウクライナ停戦をめぐり米国と欧州の溝が深まると、トランプ米大統領が近いうちに発動すると示唆している欧州連合(EU)への関税決断にも影響を与える可能性もあるか。

(金)
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