ロンドン為替見通し=ユーロドル、独の財政規律転換の影響続くか見極め

 本日のロンドン為替市場では、ドイツの与野党が財政拡張で合意した影響が続くかを見極めることになる。ユーロドルは昨日の欧米市場の流れを引き継ぎ、東京午前に昨年11月以来の1.08ドル台乗せを達成した。確かに「Trend is Friend」という相場格言に則った動きではあるものの、独政治の状況次第では、急ピッチで上昇してきた反動も念頭に入れておくべきかもしれない。

 ドイツでは、次期政権の立ち上げに向けて動いている中道右派キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と中道左派の社会民主党(SPD)が昨日、国防費を増額するための財政規律緩和を目指す方針で合意した。また与野党は、5000億ユーロ規模のインフレ基金の創設も同意している。これまでの厳しく保守的とされた「ドイツの財政規律」が緩和に動き始めたことに対し、金融市場は敏感に反応。独長期金利は急騰し、独株が大幅高、為替はユーロ買い一色となった。

 ただし一部報道によれば、ドイツ国内において一定の支持基盤(先の連邦議会選挙では4番目の得票率)を持つ「緑の党」が、規律の見直しに不賛成の意向を示している。また、最大野党である極右・ドイツのための選択肢(AfD)も反対の立場だ。財政拡張の法案は来週にも独下院に提出され、早ければ17日にも採決が実施される見込み。独政局が乱れるようだと、ユーロも一本調子で上昇という訳にはいかない。いずれにせよ、暫くは関連報道にユーロ相場は振らされることになるだろう。

 なおユーロ圏のイベントでは欧州午後、欧州中央銀行(ECB)が政策金利を発表予定。市場予想は0.25%利下げであり、こちらサプライズなしと見る。ただ、昨日に独長期金利が急騰したこともあり、今後の金利動向について、定例会見でラガルドECB総裁がどのような見解を示すか注目される。

 ほか、欧州序盤には2月スウェーデン消費者物価指数(CPI)が発表予定。市場予想は総合・コアともに前回から加速が見込まれている。スウェーデン中銀の次回会合(3月20日)への思惑は「追加利下げ」と「据え置き」で分かれており、本日の結果次第でどちらかに傾くようだと、スウェーデン・クローナ(SEK)の動意にも繋がるだろう。


想定レンジ上限
・ユーロドル、1.0937ドル(2024年11月5・6日高値)
・スウェーデン・クローナ(SEK)円、2024年7月19日高値15.04円

想定レンジ下限
・ユーロドル、200日移動平均線平均線1.0722ドル
・スウェーデン・クローナ(SEK)円、200日移動平均線平均線14.29円


(小針)
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