株式明日の戦略-週間では日経平均は下落しTOPIXは上昇、来週は米国の物価指標に注目

 7日の日経平均は3日ぶり大幅反落。終値は817円安の36887円。米国株安や円高進行を嫌気して500円超下げて始まった。すぐに節目の37000円を下回ると、下げ幅を800円超に拡大。36800円台でいったん売りが一巡し、37000円近辺まで値を戻した。前引けでは37000円を上回ったが、後場は売り直されて37000円より下が定着。前場では買われる場面もあった大手防衛株も軒並み安となるなど、買い手不在の様相が強まった。指数は前場同様に36800円台に入ると下げ渋ったものの、安値圏で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆9200億円。業種別ではゴム製品、鉄鋼、鉱業などが上昇した一方、その他製品、電気機器、精密機器などが下落した。幅広い銘柄が売られる中、キオクシアホールディングス<285A.T>が商いを伴って急騰。半面、防衛株が手じまい売りに押される中、IHIが5%を超える下落となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり459/値下がり1133。レーザーテックが逆行高。ブリヂストンや横浜ゴムなどタイヤ株には買われるものが多かった。日本製鉄、JFEHD、神戸鋼の鉄鋼大手3社がそろって上昇。好決算を発表したカナモトが大幅高となった。

 一方、ファーストリテイリングが3.6%安。ソニーG、コナミG、DeNAなどゲーム株の下げが大きく、証券会社が目標株価を引き下げた任天堂は9%を超える下落となった。フジクラや古河電工など電線株が大幅安。半導体株は濃淡あったが、指数寄与度の大きい東京エレクトロンやアドバンテストが弱かった。リスクオフの様相が強まる中、メタプラネットやリミックスポイントなど暗号資産関連が大きめの下げとなった。

 日経平均は大幅安。売買代金上位銘柄に崩れたものが多く、週末値で37000円を下回った。一方、後場の動きが悪かった割には36800円は割り込んでおらず、直近の安値近辺で下げ渋った。きょうの下げで日経平均は週間でも下落。一方で、TOPIXは週間ではプラスとなっている。また、業種別でみると週間では全33業種中、上昇27業種、下落6業種となっており、上昇業種が圧倒的に多い。週末の大幅安は印象が悪いが、日本株全体を俯瞰で見ると、今週は大崩れしたわけではない。上げに浮かれず、下げに怯えずのスタンスで臨む局面だ。


【来週の見通し】
 方向感に欠ける展開か。米国で12日に消費者物価指数(CPI)、13日に生産者物価指数(PPI)と物価指標が相次いで発表される。足元でドル円の値動きが大きくなっており、米国の指標を受けた米長期金利や為替の動向に神経質となるだろう。注目度が高いのはCPIで、弱い結果となって米国の長期金利が低下すれば、米国株の支援材料になると見込まれる。ただ、このケースではドル円が円高(ドル安)に振れるリスクもある点には注意が必要。今週はトランプ大統領からのメッセージに振り回されたが、この状況はもうしばらく続くと思われる。各種材料に一喜一憂して強弱感が定まらず、不安定な動きが続くと予想する。


(山下)
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